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楽してのんびり生きていたいけど、やっぱりお金は稼がなきゃ ー宇宙開拓記 その2ー  作者: 杠煬
第6章 バイヤーさん

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チュウさん

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。


「.......まだですかね?」

「まだやろね、多分」



さっきから、もう何度も繰り返しているこの不毛なやり取り。

だってそろそろ2時間が経とうというのに、まだ面談の相手が来ないのよ。

イライラしてきた私と違い、日来課長おいちゃんはすずしい顔だ。



「彼は僕と違って、生粋の火星生まれで火星育ちやからね。時計の感覚が他の人類ホモサピエンスとは違うんよ?」

「課長とは逆ですね」

「いんや、僕もそういうところあるよ。必要とあれば待つことに苦痛なんて感じへんし」



それ、ホントかなあ??



「課長は俗に言う『いらち』だと思ってました。1日を48時間のペースで生き急いでて、んで背中には時は金なりタイムイズマネーってタトゥー入れてて」

「僕のこと、そんなイメージやったん?ヒドイなぁ.......僕だって半分はのんびり屋の火星人なんよ?」

「普段の働きぶりを知ってる私には、とてもそうは見えませんけどぉ?」



ここは、相手が待ち合わせ場所に指定してきた高級ホテルのティーラウンジ。



すわってるイスもおしゃれなカップも、ちょっと見ただけでそれはそれは高級品だと分かる。

とっくに飲み干してしまったコーヒーはもちろん美味しかったんだけど、注文の時にメニューを見て正直びっくりした。

コーヒー1杯で、だし巻き定食を余裕で3回は食べられるお値段ってどうなのよ??



......

.....

...


さらに待ち続けること1時間、だんだんと外が暗くなってきた。



さすがに日来課長おいちゃんも退屈してきたのか、テーブルに端末を置いて仕事をしている。

おなかのすいてきたショウコちゃんはもう一度メニューを開き、「このケーキ、注文していいですか?」って聞いてみる。

そして、「自費ならええよ」って言われてあきらめる。



こんなに小さいのにピザのLサイズと同じ値段ってのは納得できないわっ!

きっと美味しいんだろうけどさぁ(涙)

(あ、最初のコーヒーだけは経費で落ちるからダイジョブよ)



さらに、ここがなまじ火星なもんだから、コーヒーをお替りしないままこんなに居座っても問題ないみたいで、あぁつらいよぉっ!!!!



「ねえ課長」

「うん?なあに??」



あまりにヒマなので(アンタも仕事したら?って言われたけどそれはヤダ)、仕事中にもかかわらずつい声をかけてしまう。

それでもイヤな顔ひとつせずに相手になってくれるあたり、やっぱりこの人は器が大きい。



「くだんのバイヤーさんはこのホテルに宿泊してるんですよね?きっと、お昼寝してて私たちとのアポイント忘れてるんですよ。フロントで部屋番号を聞いて、起こしにいってきましょうか?」



それに比べてショウコちゃんの器の小さいこと(ヤレヤレ

って.............ううん、さすがにここは怒ってもいい場面よね??



でもそんな私に対し、日来課長おいちゃんは心底びっくりした顔。

そして意外そうに言う。



「もしかしてアンタ、彼が部屋で寝てはると思ってたん?」

「..........え??」



どゆこと?ってめんくらったその時。

すぐとなりに唐突に気配がしたと思ったら、



「やあ日来さん、久しぶり!もしかしての聞くだけど.....待たせたかな?」



約2時間の遅刻をいっさい悪びれることなくニコニコと笑う、ものすごーく軽いノリのおじさんがそこに居た。



......

.....

...



「こちらの彼女は初めましての人やね。どうも、チュウ=イセイです」



先に名のられてしまい、慌てて立ち上がるショウコちゃん

くっ!!不覚!!

あたふたと名刺を出しながら営業用のスマイル、スマイル。



「初めまして、潟田ガタダショウコと申します」

「はいよろしくね」



名刺を一瞥するチラリとみると、さっさとしまう。

で、もらったチュウさんの名刺には社名、携帯番号、それにメアドはあるけど住所の記載がない。

名刺をまじまじと見る私に、その疑問を察してくれたのか、チュウさんが言う。



「仕事の柄、僕は超広域宇宙生活圏連合せかいじゅうを回っているの人やからね。固定の事務所は無いんよ。ところで日来さん、どのぐらいの時間待った?」

「今日は早い方やね、2時間ぐらいかな」



日来課長じょうしが答える。

そのコトバに皮肉のニュアンスを感じないところをみると、このチュウさんという人はいつもこんなに人を待たせるのだろうか?

と、とりあえず、ようやく面談ができるわっ!



「そう?じゃあもう少し待ってての問題無いね?部屋へ戻って着替えてくるから」

「はいはい」



ずっこけるショウコちゃんと普段通りの日来課長おいちゃんを残し、チュウさんはさっさとラウンジを出ていく。

あ、自分の顔スマイルが引きつってるのが分かる。



な......なんなのあの人?

あれで平常運転って、宇宙人でもあんまりいないタイプだわね(汗)



不安でいっぱいのショウコちゃんだったんだけど、ラウンジの出口のあたりで何かを思いついたようにチュウさんが振り向くと、回りにも聞こえるぐらいの大声で言った。



「遅くなったの時間だから、このあと食事を一緒にどう?奢るよ!潟田ガタダさんは牛肉は大丈夫の人?ルナステーキはお好き??」



はい前言撤回!!

うん、この人は絶対に良い人にちがいないわっ♪




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