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楽してのんびり生きていたいけど、やっぱりお金は稼がなきゃ ー宇宙開拓記 その2ー  作者: 杠煬
第5章 宿題があるのよね

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44/50

もう1人の自分

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。


店員さんが外で待つお客さんに、順に麺の量を聞いている。

もうすぐ私たちの番だ。



「私、大で」

「私、えーと小で、それとニンニク抜き......」

「それは後でおうかがいしますんで」

「あぅぅ......」



最初に申告するのは麺の大小だけだよってちゃんと教えておいたのに、やっぱりテンパってたみたい。

そんなアタフタする歌保ちゃんを微笑ましい思いで見ながら、まったく同じことをやってた昔の自分を思い出す。


ふっ、私もスレたものね......



......

.....

...



「で、キラリティって何?」



そのコトバを過去の記憶から検索するのを早々にあきらめる私。

てか、あんまりマジメな学生時代を過ごしていないショウコちゃんの記憶をくまなく探したとしても多分無いと思うし、無いものは見つからない道理よね?



歌保ちゃんもようやく自分を取りもどしたみたいで、苦笑しながら説明してくれる。



「鏡像と重ね合わすことができない性質のことよ」

「キョーゾー?」

「ええとね、例えば右手と左手の関係ね。このふたつはちょうど鏡にうつったカタチをしているけど、重ねることはできないでしょ?」

「そうだね」



うん、それは分かる。

で?



「で、お薬を過剰摂取しちゃうと、自分の意識ははっきりしているのに、鏡の中のもうひとりの自分が体を支配うごかしているのを感じるの。だけど、そのもうひとりの自分っていうのは鏡像と同じ。似てはいるけどやっぱり自分とは違う存在で、絶対に重なり合うことはないって分かるのよ」

「.......つまり、ヨロコビを感じてるのは鏡の中のもうひとりの自分ってこと?」



歌保ちゃんは意を得たりとばかりににっこりと笑う。



「ご名答!でね、そんな自分自身とは違うふわふわと不安定な気持ちのまま人と話していたとして、付け焼刃のヨロコビを否定されたらどうなると思う?」

「...........」



え?え?え?

必死にイメージしようとするんだけど......えーと、えーと......


うん、これは「S2」うんぬんじゃなくて、単にショウコちゃんのアタマの出来の問題だわ......(汗)

そんな私に対して、優しい歌保ちゃんはちゃんと分かりやすい例えを用意してくれる。



「えーとそうね......例えば、それほど親切ではない人がその気も無いのに電車で席を譲って、なのにその親切を『結構です』って断られたらどう思うかしら?」

「...........カチンと......くるかな?」

「そういうこと」



なんとなく分かってきた。



「過剰摂取によって分離した不安定な人格もうひとりのじぶんは、本来の人格には制御しにくいの。そんな状態で小さな器からあふれ出した大きな『ヨコロビ』の感情の否定は、容易たやすく鏡像反転して大きな『いかり』の感情として本来の人格に蓄えられるわ」

「もしかして、人格が分かれてるから、その場で『コノヤロー』って発散できないんだ?」



うん、分かってきた感じがする。



「そうね。普段なら心の器が小さいから舌打ちや文句、もしくは愚痴なんかが表に出てきて、それで争いケンカになることはあるかもしれないけど、心に黒い感情は溜まらない。だけど過剰摂取で人格が不安定になると、心の許容量を超える程の怒りが行き場を無くしたままになってしまうの。ということはつまり」

「つまり?」

「心の奥底に『いかり』の爆弾をかかえることになるわ」

「なるほど。そうやって蓄えられた怒りのエネルギーが」

「ある日、ちょっとしたきっかけで爆発するのよ」



うん!今度こそストンと腑に落ちたわ(喜)!!



......

.....

...



「やっぱりそのお薬、調合を見直した方がいいとは思うのよ」

「だよねぇ」



うん、もともと「お薬」って個人々々向けに処方箋を発行カスタマイズして調合されてるわけじゃないから、安全のために薬効には幅がもたせてあるハズなのよ。


なのに、ほんのわずかな成分が増えただけでこんなことが起きるんじゃ、今後もどんな副作用があるのか分かったもんじゃない。



「多分そのお薬って、設計段階で何かしらのたまたま良かったチャンピオンデータが使われてるのかもしれないわ」

「となると、その可能性も含めて再検討を提案した方がいいわよねぇ......(汗)」

「僭越かもしれないけどね(苦笑)」



忘れることの無いように今までの話をメモメモ。

メンドーでもこういうことはその時にやっとかないと後で思い出すのに苦労するからね。



「あ、私たちの番がきたようよ」

「わーいっ、安心したらおなかすいてきた!食べるぞぉっ!!」

「ショウコちゃん、私もがんばって食べるけど.....多かったら助けてね」

「おっけぇ!まっかせなさーい!!」



「お次お待ちの2名様」の声に呼ばれて、やんちゃな胃袋(それはショウコちゃんだけよって言われた)にトドメを刺すべく、私たちは湯気とイイ匂いに満ちた店内へと突入するのであった(笑)



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