表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽してのんびり生きていたいけど、やっぱりお金は稼がなきゃ ー宇宙開拓記 その2ー  作者: 杠煬
第5章 宿題があるのよね

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/49

行列に並んで

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。


「でもさー歌保ちゃん、私やっぱり、よく分かんないや」



コップのビールを飲み干してボヤく私。

焼きそばもビールも残りわずか。

おナカはともかく、さすがに飲み過ぎて酔っぱらってきた。


お店も混んでるから、お酒はともかく今からおつまみを注文してもけっこう時間がかかっちゃう。

そもそもが立ち飲みなんだから、あんまり長居するのも無粋やぼだしね。

だからそろそろ二軒目のタイミングかな?とは思うんだけど、さっきの話の続きが気になるんだもん。



「だってお薬の過剰摂取が原因だとしてもよ、今回問題になってる成分って喜怒哀楽の喜、つまりヨロコビを増幅させるんだよ?喜怒哀楽の怒とはまるで逆じゃない?」

「そうね。あ、ちょっと待ってね。すみませーん、おひやを下さいな」



そう言うと歌保ちゃんは、店員さんに声をかけてお水をもらう。

ちなみにチェイサーじゃないよ。

歌保ちゃんの「お薬」の時間ってことね。


昔はともかく、今はみんなが定期的に「お薬」を飲まなきゃいけないから、世界中どこへ行ってもお水はタダになっている。

まあ、元素変換装置の恩恵で上下水の処理がカンペキになったから、キレイなお水の供給が楽ちんになったってのもあるんだけどね。


知ってた?

昔は水道水がそのまま飲めない国って結構あったんだよ??



.............................................



「で、なんで私まで行列に並んでるわけ??」



お水をもらったら(私の分もきたし)、やっぱり何となくお勘定ってフンイキになっちゃって、仕方がないのでそのままホルモン屋さんを出てきた。

今は地下鉄で一駅のところにあるラーメン屋さんの行列に並んでいる最中。

さっきから歌保ちゃんがナンデ?ナンデ?っていう顔をしてるけど、そんなの決まってるじゃない。

私たち、まだちゃんと夕飯を食べてないんだモンっ♪



「いや、モンっ♪って.......さっき焼きそばを食べたじゃない?」

「それはそれ、これはこれよ♪」

「イミフだわ.......でも、いい匂いではあるわね」

「でしょっ!!」



お店の外にはお醤油と豚肉の脂のイイ香りがただよっていて、思わず鼻をひくひくさせちゃう。



「でさ、さっきの話の続きいいかな?心の器が小さいと感情があふれちゃうってのは分かったんだけど、それだとヨロコビがあふれて単にハッピーになっちゃうだけじゃないの?」

「うーん.......それがそうでもないのよねぇ.......」



......

.....

...



行列が少しずつ前へと進んでいく。

ポッケの中で「焼豚増し大盛」の食券をもてあそびながら、歌保ちゃんの次の言葉を待つ。



「なんていうのかしら.......私も以前、間違ってお母さんのお薬を飲んじゃったことがあるから分かるんだけど、自分に合ってないお薬ってのは、こう.......自分がブレるというか.......地に足がついてない感じがするのよ」

「うーんと.......ほろほろ酔っぱらってる感じかな?ちょうど今みたいに??」



とか言いつつ、寒さのせいでもうすぐ酔いがさめちゃいそう。



「まあ近いか、な?.......あと、それに加えて、そんな自分を離れたところから冷静なさめた目で見てる自分がいるのも感じたわ」

「ふーん?」

「ええと.......そうそう、ちょうど鏡の中の自分を見ている感じよ」



うっかりしてた。

もう少し気を付けるべきだった。

その時の私、イマイチよく分からないって顔をしてたんだろう。

歌保ちゃんが少しさみしそうな、それでも優しい笑みを浮かべる。



「『S2』を持ってないとね、時々、なんていうのかな.....自分が自分で無いみたいな、そんな不安定な気持ちになることがあるの」

「あ!ごめん..............」

「ううん、いいのよ。ショウコちゃんが気に病むことじゃないわ」



なりゆきとはいえ、いきなりちょっとデリケートな話題になっちゃって、思わず謝ってしまう。


望んでそうなったわけじゃないけど、やっぱり「S2」を持ってるってだけでこの世界では優遇されちゃうのは確かだし、持ってない人に対しては「絶対に・・・!」憐れんだりしちゃいけないんだけど、それでも、とてもとても気をつかうのは確か。

それが仲の良い友だちともなればなおさらね......



「そんなしょげないでよ。今回の件、原因を知りたいんでしょ?」

「うん........ごめんね」

「もういいから、気にしないで。それよりもさっき『鏡の中の自分』って言ったの覚えてる?」

「うん」

「じゃあ、『キラリティ』って言葉を知ってるかしら?」



にっこり笑ってムズカシイことを聞いてくる歌保ちゃん。

「S2」の話題から少しそれて正直ちょっとホッとする私の、心の罪悪感トゲをふきとばす新たなワード。

それが、お酒でよりニブくなった私のアタマをゆさぶってくる。



「えーと、えーと.......」



きらりてぃ??

何それ??





気に入って頂けましたら、ご評価、ブクマ登録など頂けますと大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ