おいし♪おいし♪
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「まずはビールだねっ!」
うん、そのセレクトは大賛成。
ビールは仕事の後に飲むお酒だもん。
まだ私が小さかった頃、お父さんがいつもそう言ってたわ。
シュワっとした生ビールのジョッキをこう持ち上げて.....
「お決まりですか?」
「大ビンください!コップ2つね」
「はいよ」
あ、あら......
注文を取りに来たスタッフのお兄さんに笑顔で告げるショウコちゃん。
なかなかに想定と段取りを崩してくるわね(苦笑)
「ここはビンのほうがいいのよ」
「ふーん」
そ、そうなのね.....
ま、でも自称(&他称)「おっちゃん舌」のショウコちゃんが言うなら間違いは無いでしょ。
「ねえ、レバーまだある?」
「運が良いですね!最後の1皿が」
「よっしゃっ!じゃあそれっ♪」
とガッツポーズ。
ここへくるまで、ショウコちゃんがちょっと焦ってたのはこれのためだったのかしら?。
レバーは私も大好きだから嬉しいな。
「あとは脂身とフワを、こちらは2人前ずつ。それと......おなかすいてるから、ホルモン焼きそばもお願いしとこうかな?」
「まいど!ありがとございやす!」
脂身?
フワ??
何それ???
ま、でも、自称「おっちゃん舌」の(ry
.......
.....
...
「はいお待ち」
しばらくすると大きな瓶ビールが1本と、ようく冷えてたとおぼしき円筒状のガラスのコップが2つやってきた。
このコップの形、何だか見覚えがあるような.......?
「うふふ。そうよ気付いた?よくコンビニなんかにある日本酒が入って売ってるやつのコップよ」
「へぇ、面白いわね」
「はい歌保ちゃん。このコップにキンキンのビールを注いでっと」
「あらありがとーっとと.....はい今度はショウコちゃんどうぞ」
「いやーこんな美人なお姉ちゃんにお酌してもらえるなんてうれしいなー♪」
「.....ショウコちゃん、オジサンっぽいわよ(汗)」
お互いにお酌をしあうと、キンっとコップを鳴らす。
おつまみはまだ来ないけど、とにかくノドが渇いているのよ♪
「カンパイ!」
「乾杯、お疲れさま」
ゴクゴク、ゴクゴク......
「っぷっはっ!!」
「くぅぅっ!おいしーっ!!」
結構大きめのコップなんだけど、2人とも一気に飲み干しちゃう。
よく冷えてて美味しいわ♪
「はい、お待ちどう。先ずは脂身2人前です」
「ありがとー」
混んでるわりにはそんなに待つこともなく、カウンターの内側からマスターがピカピカのステンレスのお皿を渡してくれる。
その上にはタレ色に染まった1口大のカタマリがたっぷりと。
見ただけでプルプルしてるのが分かる。
「はい歌保ちゃん、おはし。食べてみてよ、美味しいから」
「ありがと」
プルっとした脂身を1つつまみ上げ、おそるおそる口に入れて噛んでみる。
うわぁぁぁ........これ、おいしっ!!!
「んんーっ!うんうんうんっ!!!」
「うふふ、美味しいでしょ??」
「うんっ!!」
硬過ぎず柔らか過ぎない、いわゆる「シコシコ」と「プルプル」の良いとこ取りの食感、そして噛んでいるとあふれ出てくる脂の旨味と、それにからむタレの甘いコク。
ギトギトしたクドさはまったく無くて、クニュクニュ噛んでいるとだんだんお口の中で小さくなってき、最後はごくん、と飲み込む。
思わずコップを持ち上げて、味の名残を惜しみながら冷たいビールで後を追っかける。
舌に残る味の記憶とポップの苦味がノドを滑り落ちていき、私は目をつぶってしばし余韻にひたる。
一拍おいて、
「ほうっ!!これ、最高だわっ!!」
「んふふ♪さーて、私も食べよっと♪」
ショウコちゃんも美味しそうに脂身をほおばる。
私も負けじと2つ目にお箸を伸ばしたわ。
.......
.....
...
「ところでショウコちゃん、今日のお仕事は大変だったみたいね?」
脂身の美味しさにつられてあっという間に2本目の瓶ビールに突入したあたりで、努めてさりげなく聞いてみる。
するとショウコちゃんは少し目を伏せて、黙ったままカウンターに置いてあるおろしニンニクと一味唐辛子の容器を手に取り、お皿の端に少しのせる。
そしてポツリと呟いた。
「うん、まあね.....分かる?」
私はコクリとうなずいて、ショウコちゃんのコップにビールを注ぐ。
ちょっと失敗してコップの半分くらいが泡になっちゃって、で彼女はその泡が落ちつくのをじっと見つめている。
「分かるわよ。接待以外じゃ、いつも週末にしな飲まないあなたがわざわざ誘ってくれたんだもの。ショウコちゃんってさ、自由奔放に生きてるようで、それでもなかなかに責任感強いもんね」
「ふふっ.....ほめてるんだよね、それ?」
そう言うと、ショウコちゃんは何かを振り切るようにコップのビールをひと息に飲み干す。
「.....ふうっ!ありがと.....実はね......」
そして彼女は、ポツリポツリと今日の出来事を話してくれたわ。
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