表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽してのんびり生きていたいけど、やっぱりお金は稼がなきゃ ー宇宙開拓記 その2ー  作者: 杠煬
第4章 今度は顧客へ向けて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/39

お客さんと面談 2

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。


今度はさかのぼること昨日の夜。



モチロン残業してる時間帯なんだけど(涙)、今日の面談については日来課長じょうしと綿密な打ち合わせをしてあるわ。

まあ普段なら、ある程度は出たとこ勝負なんだけどねぇ.......



「いい?あちらさんは是が非でも4M変更の導入を要求してくると思うけど、はっきり言ってそれは無理な話。いよいよとなったらきっぱりと断ること」

「いいんですか?」

「継続的に努力目標としてあげてはいるけど、まああと数百年は無理やろうね」



うんまぁ確かに.......それは日々実感してるわ(汗)



「それと、必要以上にヒクツにならないこと。なおかつ短気にならないこと」

「は、はい(それが一番自信がない.....)」

「それとあとは、いろんなケースを想定して、どう話をもっていくか決めとこか?」

「分かりました」



そっから約1時間ほどみっちりとシミュレーションをした後、日来課長は最後に言う。



「面談でテンパると、心の視野が狭くなるからね。そういう時は落ち着いて深呼吸。それから相手の様子をよく観察してみて。案外かんたんに突破口が見つかるもんよ.......」




.............................................




で、そんな周到な下準備にもかかわらず、なぜだか今は針のむしろ状態。

やっぱりと言うかなんと言うか、きっちりテンパってるショウコちゃん.......(汗々アセアセ

うん、自分でもちょっとあきれてるわ......



4M変更以外の話題に関してもそう。

先方の上司さんってば情け容赦ようしゃなくて、私が何を言っても、言葉尻をとらえてはこっちに非があると責め立ててくる。



私としても「向こうはお客さんなんだ」っていう負い目みたいな意識があるからどうしても反論がしにくくて、結局しどろもどろな受け答えしかできない。

相手はそれを好都合と思っているのか追及の手をゆるめてはくれず、私を全面降伏させようと立て板に水と圧迫あっぱくしてくる。



いつも面談してる男の子なんてホントはあっち側おきゃくさんなのに、「ゴメンね!本当にゴメンね!うちの上司うるさくてゴメンね!!」って顔で心配そうに私を見ている。

とりあえず2人いっしょに責めてこられないだけマシなのかなぁ??




「あ、あの.....」

「今回のように、トラブルがあってそれから対処しているようでは困るんです。前もって防ぐためにも御社は最大限の努力をするべきじゃないですか?」




ひぇぇ.......

えーと、えーと、こんな時はどうするんだっけぇ???????



予想されうるQ&Aをびっしり書き込んでおいたノートをペラペラめくるも、なかなかうまい答えが見つからない。

手に額にじんわりと汗がにじんでくる。



矢継ぎ早に繰り出される相手の言葉。

その声自体もだんだんと大きくなってくる。



助けを求めて日来課長こっちのじょうしの方をちらっと見ても、すずしい顔でコーヒーをすすっている。

援護射撃は期待できそうにない......(涙)



心の中にだんだんとどす黒い感覚モヤモヤが溜まってくるのが分かる。




「で、ですから.......」

「そもそもおたくの対応は不誠実です!今度同じようなことがあったら、どう責任をとるつもりなんです?」




あぁもうヤダ.......

泣きそうな思いで口を開くも言葉が出てこない。

どうしよう、どうしよう.......




そしてついに.......大っ嫌いなあの言葉・・・・が私の耳を穿うがつ。




「言ってみればこっちは客なんですよ。客の望んでいるものを寸分違わず納入するのが『供給責任・・・・』ってものじゃないんですか?」





































..........ぶちん!!!






頭の中が真っ白になる........

目の前が真っ暗になる........






「供給責任」.......その言葉は私にとっての、いわば地雷。

この世で一番聞きたくない言葉。




パタンとノートを閉じる。

顔を上げて相手の目を真っすぐに見る。




世界から音が消える。

目の前にはその人・・・が口パクでしゃべり続けている。

私は拳を握りしめる。




さて、と........




その時、傾いたソファーの上でかろうじてバランスを保っていたお尻がぐらッとゆれた。

となりに座っていた日来課長ぽっちゃりさんが身動きをしたから。

そして、怒りのままに相手の胸ぐらをつかもうと怒鳴り散らそうとした私の肩をぽんぽんとたたく。




ハッと我に返る私。

思わず横に目を向けると日来課長おいちゃんが微笑みながら目で何かを語りかけてきていた。




あぁ.......そうだ.......




スッと気持ちが落ちついてくる。

頭の中が冷えてくる。

アホらし.......私ったら、なーにを興奮コーフンしてたんだろ.......?




色が、音が、そして世界が戻ってきた.......




気に入って頂けましたら、ご評価、ブクマ登録など頂けますと大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ