お客さんと面談 1
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
報告書を読みあげ、内容を説明する。
話し終わると、ため息(!)とともに先方からこんな言葉が。
「なるほど、お話はよく分かりました」
一抹の不安はあるけど、とりあえず私ことショウコちゃんはホッと胸をなでおろす。
なんとかうまくいってくれるかな.......??
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さかのぼること、だいたい10分前。
そのお部屋には高価そうな絵画やら壺やらが飾ってあって、全体的に豪奢なつくり。
だいじなお客を通すためのお部屋ね。
ここは「極東貿易株式会社」が「トクソドンSVFB」を卸している製薬会社の応接室。
日来課長と一緒に、先日の調査結果の報告のためにやってきてるの。
いつもなら、いくつかのパーティションで区切られた応接スペースで面談するんだけど、今回はちゃんとした(?)応接室に通されてる。
しかも、いつもならプラカップのお茶なのに、今日は高そうなカップでコーヒーが出てきた。
つまりそれだけ重要な案件ってことよね??(汗)
お部屋のゴーカさに気圧されて少しビビるけど、でも大丈夫、うん大丈夫。
しつこいアホ毛も今日ばかりは大人しくしてくれて、私は今、隙のない完璧ないでたち。
どこから見ても仕事のできる女性ってイメージのハズよっ♪
.......
.....
...
ふかっとした3人掛けのソファーに日来課長と並んですわっていると、だんだん体がそっちへ傾きそうになる。
日来課長のすわってる部分がめり込んでて、私のお尻の乗ってる部分までが傾いちゃってるから。
2人の体重差が違い過ぎるのよね(苦笑)
私たちのすわる3人掛けのソファーの前には、人数分のコーヒーカップの置かれたひざぐらいの高さの小さなテーブルがあって、その真ん中には、多分1回も使われてない灰皿っぽい大きな翡翠色の器。
テーブルの向こうには1人掛けのソファーが2つ並んでて、いつも面談してる同世代の男のコと、その上司のちょっとコワそうなおじさん。
なんだか居心地がわるいなぁ.......
クリアファイルから、レヌ星での調査結果と考察をまとめた報告書を取り出して、原本は先方の上司へ、若いほうへはコピーをどーぞ。
「では今回の調査結果について説明させていただきます」
「ああ」
「お願いします」
「ああ」って.......
なんかスゴクぶっきらぼうな態度。
お客様だとはいっても、あちらさんの上司、なんだかチョッと感じ悪いわ。
ま、そのことは気にしないようにして、ショウコちゃんは努めて淡々と、あくまで淡々と説明を始めたわ。
気にしない、気にしない.......
.............................................
「で、お話は良く分かりましたが、やはり4M変更の導入は出来ませんか?」
いやアンタ.........全然分かっとらへんやん!!
(あ、日来課長の口調がうつった......)
「そうですね、やはり宇宙人と我々人類とでは文化風習が異なりますし、そう簡単には......」
「だけどねえ、今回の件ではうちもそれなりの損害を被ってるわけですからね、今後のことも考えると是非とも導入させてもらいたい」
話をさえぎってたたみかけてくる顧客の上司。
ちょっとアセる。
えーと、えーと........
「えーと、ですから.....」
「それをさせるのも貴方達の仕事でしょう?」
「........!!」
決めつけるように強く言われて、思わず言葉につまってしまう。
先方の上司さん、あたりがキツイわ(冷汗)
となりの男のコも、少しこまった顔で私の顔を見ている。
目が「ゴメンね....うちの上司、うるさくって......」って言ってるもの。
うん、普段の彼とはもう少しおだやかな商談ができてるのよ.......
「引き続き、導入するよう依頼はしておりますので.......」
「じゃあ、いつまでに出来るのか期限を決めて下さい。そのうちに、では何も解決しませんよ」
そ、そうかもしれないけどさぁ........
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