朝だよ
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「ZZZ...... ZZZ......むにゃ」
「ZZZ......んーもう、歌保ちゃんったらぁ......ふふっ......」
「ZZZ......えぇ?......3杯目もいくのぉ......??」
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「あぴぃゃぁぁっっ!!」
.............................................
耳もとで鳴りひびく目覚まし音に安眠をぶった切られ、夢の中からとび起きる。
あわてて枕元のデジタル時計のアラームをOFFにっ!!
「あーびっくりしたぁ......(汗)」
まだ胸がバクバクいってる......
レヌ星の目覚まし時計って、どんだけ凶悪なのよ......
「ふぅ、あやうく心臓が止まるところだったわ。まったくもー......かわいいショウコちゃんがポックリいったら超広域宇宙生活圏連合の大損失じゃないのよ......ぶつぶつ」
などとアフォなことをつぶやきつつ、のそのそとベッドからはい出る。
ふわぁ......ねむい......
ユニットバスルームの中、洗面台の鏡にボサッとした女の子が写ってる。
うん、特にむくんではないわね。
顔を洗って軽くお化粧。
身支度をしてるとグゥゥと鳴るおなか。おっと胃袋さん、もう少し待っててね。
急いで身支度、身支度っと。
.....あーもうっ!!
今日のアホ毛、いつにもまして元気が良いわねっ!!(呆)
......
.....
...
少し混み始めたエレベーターで下に降りていく。
もちろん、1階にある食堂で朝ごはんを食べるためよ。
チェックアウトはその後ね。
1人用のカウンターに腰掛けてちいさな縦型のホルダーにはさまれたメニューを見る。
えーと......おかずはあまーい玉子焼きと、これまたあまーく仕上げた筑前煮、ふんふん。
主食は「お米orパン」を選べるみたいで、なんとどれも食べ放題、わーい。
うん、少しぐらい甘くっても、このおかずならやっぱりお米よねっ♪
......そう思ったんだけど、メニューをよく確認したら「おはぎor小倉トースト」の2択だった......orz
.......
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手を合わせていただきますをしたら、パンにバターとあんこをたっぷりとぬりぬり。
「ま、それはそれとしてっ(ひらきなおり)!この小倉トースト、マジでうんまぁぁぃ!」
サクッと焼きあがったトーストにバターとあんこ。
甘さとしょっぱさ、油とデンプンがお口のなかでフクザツな異種格闘技大会を開催して、それからがっちりとスクラムを組んだチームワークを発揮してるわ。
うん、なに言ってるのか自分でもワカンネ......
「まったく、こんな悪魔合体、だれが思いついたんだろう?きっと天才のしわざにちがいないわね?」
ここ数十年ほど、あんこはレヌ星人の大好きな食べ物ナンバーワンらしい。
たしか「極東貿易株式会社」の食品課でも、レヌ星向けに大量の小豆を輸出してたハズだわ。
.......
.....
...
私たち人類が超広域宇宙生活圏連合へ参加したとき、きっと私たちの文化や生活様式はそりゃあもう劇的に様変わりするんだろうって思われてたんだけど......意外とそんなことはなかったの。
むしろ逆で、一変したのは宇宙人達のほうだったみたい。
これまで超広域宇宙生活圏連合に参加した種族の中では人類がもっとも多彩な食文化をもってるって分かったもんだから、当時はちょっとした騒ぎになったらしいわ。
次から次へと観光に訪れる宇宙人、あちこちのレストランで見習いをする宇宙人、さらには農家や漁船で働く宇宙人までいたそうよ。
まあどの宇宙人も、地球圏に住んでるかぎりは自分達の主義主張を押しとおすような幼稚なことはしないから、トラブルはなかったみたいだけど。
まあそんな文化共有のおかげで、出張先でも食べ物に困ることはそうそう無いんだけどね。
ん?
ここの甘いご飯?
これはこれで美味しいからオッケーよ♪
やっぱり、デザートがわりにおはぎも食べとこっと!!
.......
.....
...
「ふーっ!食った食った、ごちそうさまでしたぁ」
手を合わせて食材とホテルのスタッフさん達に感謝、感謝。
いったんお部屋へ戻って歯をみがいたら、チェックアウトして出発するわ。
今日は工場設備を見せてもらう予定だけど、機械にうとい私に分かることってあるのかしら?
すこし荷が重いんじゃないかなぁ......
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