報告書
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
カタカタカタカタ........
カタカタカタカタ........
「ふわーぁ........ねむ.......」
接待が終わってホテルにもどり、部屋にある小さな机にむかっている。
寝る前に「やらなきゃいけないこと」と「しておきたいこと」があるからね。
まずは「やらなきゃいけないこと」から片付ける。
睡魔とたたかいながら報告書を書いてるんだけど.......眠気のせいでキーボードの打ちまちがいが多いよぉ(涙)
日来課長からは、どんなに遅くなっても報告書はその日のうちにまとめるように言われてる。
最初はしんどいなって思ったけど(いや今でもしんどいんだけどね)、やっぱ記憶の新鮮なうちに書いといた方が後々楽なのも事実なのよね。
ちなみに「しておきたいこと」ってのは何か分かる?
うんうんそうよ。
シャワーをあびてスッキリサッパリすることね。
これでも女の子ですから、お化粧だっておとさなきゃいけないし。
でもそれ以上に......くちなおしがしたいのよぉっ!!!
.......
.....
...
視界のスミには、ホテルへもどる途中にコンビニで買ったポテチの袋が神々しくひかり輝いている。
だってどーしてもしょっぱいものが食べたかったんだもん!!
ゴクリ.....
生唾を飲みこんで袋を見る。
ついつい手がのびそうになる。
「あぁダメダメ、もうあとちょっとで終わるじゃない!耐えるのよショウコ!!」
カタカタカタカタ........
欲望をふりはらってキーボードをたたく。
がまんしてるけど、耳もとで悪魔のささやきが聞こえてきた。
[悪魔ショウコ]
(食べちゃおうよ、つまもうよ。2、3枚ぐらいならどうってことないわよぉ)
[天使ショウコ]
(ダメよっ!あなたのことだから2、3枚じゃすまないわよ。絶対に1袋いっちゃうわよ。ここはガマンよ。報告書もあと少しじゃない。仕事が終わってからゆっくり食べればいいのよっ!)
[悪魔ショウコ]
(なに言ってんのよ、あと少しで終わるんでしょ?てことはもうほぼ終わりなんだから大丈夫よ。少し食べた方が気持ちもおちつくし、逆に能率もあがるってもんよ。明日の朝も早いんだから少しでも睡眠時間を確保しなきゃ。食べながら仕事すれば能率もあがるし、時間の節約にもなるわ。それに食べてすぐ寝たら、きっと朝がつらいわよ。いま食べておけば寝るまでに少しでも消化されるから、きっと体にもいいはずよ?)
[天使ショウコ]
(なるほど、それもそうねっ!)
......おいコラ天使の私っ!!
ものの見事に論破されてんじゃないわよっ!!
.............................................
「添付の報告書をお送りします......えーと、変更時ごとのサンプルは明日にでも亜空間輸送で届きますので、もどりましたら分析依頼をする予定です......っと、送信っ!!とうりゃぁっ!!」
報告書を添付したメールを送ったら、今日の仕事は全て終わりっ!
そう、終わりっ!!!
光の速さでポテチの袋をつかみ、そして開けるっ!!
大きめの1枚をつまみあげてパリッ!!
5枚ぐらいをまとめてボリボリジャクジャク。
そしゃく、そしゃく、そしゃく.......
手がっ!手がとまらないっ!!
「...............ぐぅぅぅっ!!!」
からだにしみわたる塩分。
しばらくすると、そのシアワセな塩気がノドのかわきを訴えてくる。
ここで満を持して、部屋にそなえつけの小さな冷蔵庫に入れておいたノンアルコールビールを取りだすっ!!
そう、これは甘くないおさけっ!!!!(ノンアルコールだけど)
ぷしゅんっ!!
ごふごふごふごふ........
「っくぅぉぉぉうぅぅっっぱぁぁっ!!!!!」
バリバリバリバリっ!!!
ぷしゅんっ!!
がふがふがふがふ........
「っく!!........はぁ、はぁ、はぁ........さ、さいこお........」
あはは、自分でもわけのわからない言葉とうなり声ね.......(苦笑)
.............................................
ようやく人心地がついてしばらくボーゼンとした後、手早くシャワーをすませて寝る準備をする。
シャコシャコと歯をみがいていたら、ピロン!と音がしてメールが届いた。
日来課長からだ。
『報告書確認したよー。明日サンプルが届いたら、分析はこっちで先に依頼かけとくから。アンタは設備をよーく見て、違和感が無いかしっかりと確認しといてな』
はっやー......さっきの報告書、もう読んだんだ。
ふと時計を見ると、そろそろ明日になろうかという時間。
いやいや、こんな遅くまでごくろーさまです。
気に入って頂けましたら、ご評価、ブクマ登録など頂けますと大変励みになります。