出張が決まっちゃった(汗)
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
まずメールで問い合わせてはみたものの......
案の定、やっぱり、きっとそうだろうとは思ってたけど、レヌ星からの返事はサッパリ要領を得ないものだった。
「現地へ行くしかないですよね?」
「そやね。今後のこともあるし、原因はきちんと突き止めておいてな」
「ハァ(ため息).....分かりました」
レヌ星の取引先工場で、4Mのどれか(あるいは全部)が変更されてる可能性がある。
てか多分、きっと、確実にされてる。
んで、その詳細は現地に飛んで確認の必要がある、ときた。
あーもーメンドクサっ!!
でも、ことが「お薬」に関するだけに、ここで手は抜けない。
放置してあとあと大問題になるより、多少は手間でもトラブルの芽は早めに摘んでおきたいもの。
だって地球圏の人達にとって「お薬」は今や、衣食住をはるかに上回る超最重要産業だし、トラブルが起こった場合のダメージは、それこそ深刻なものになりかねないからね(汗々)。
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すぐに面談を申し込む。
そのついでと言う感じで、工場見学もお願いする。
返事はソッコー、明日以降ならいつでもいいって言ってきた。
なので明日の朝イチでアポイントを取る。
宇宙人達ってそういうことには仕事が早い。
他人に何かしてあげようっていう、サービス精神だけは旺盛なのよね。
うん、決して悪意があるわけじゃないのよ。
多分......
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「ねえショウコちゃぁーん、お願いがあるんだけど?」
「なあに?いつもの??」
出張は今晩からということになって、日来課長がやってくれるはずだった「今日の分の仕事」を先に片付けることになった。
早めにあがらなきゃいけないから、むしろ普段より慌ただしい。
だもんでランチの時間もあんまり取れなくて、仕事をしながらコンビニで買ってきたミソ味のカップラーメンをすすっていると、ランチを済ませた歌保ちゃんが猫なで声でやって来た。
「うん。日来課長に聞いたんだけど、今度はレヌ星へ行くんでしょ?だったらこれを買ってきて欲しいんだけど......」
「どれどれ??」
歌保ちゃんが見せてくれたノート(自作の欲しいものリスト)には、むちっとしたウサギみたいなキャラクター人形の写真が貼ってあった。
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.....
...
実は歌保ちゃん、自他共に認める小物のコレクターで、彼女が一人暮らしをしているマンションはもとより、彼女の実家(なんでもすごーく由緒ある資産家のご令嬢なんだって)にも大量のコレクションがあるらしい。
今までのコレクションで、実家には巨大な蔵まで建ってるって噂もある。
なのでこれまでにも出張のついでに「おつかい」を頼まれることはよくあったし、今回もそういうことなんだろう。
にしても......何だコレ??
後ろ足で立ち上がった二足歩行の、それも短足のウサギ?
丸々と太ってて、ぷにぷにのほっぺた、たぷたぷの二重あご、それに突き出た丸いお腹。
全身にはまっ白な毛が生えていて、ウサギというには少し短めの耳。
そして赤い瞳のタレ目が自信無さげに見えるデザインね。
全体のイメージとしてはウサギというより、そうね......擬人化されたタヌキが近いかもしれないわ(お酒のびんを持ってるアレね)。
「レヌ星で今流行ってる『むちむちウサギ』ちゃんよ。とーっても可愛いでしょ??」
「うん......ソウダネ(棒) ズズッ!!」
少しのび始めた麺をすすり終えると、最後に一個だけ残しておいた昆布おにぎりをスープの中にポチャンと入れる。
そのままお箸でぐじぐじとかき回し、がふがふと流し込む。
「このぐらい......手のひらからちょっとはみ出るくらいの大きさの人形をお願いしたいの」
「モグモグ........ウン、ワカッタ(棒)」
「でね、あと一つあるんだけど......こっちはもっとレアらしいから、買えたらで良いわ」
と歌保ちゃん、ページをめくって次の写真を見せてくれる。
そこにはさっきと同じような、小太りの二足歩行のパンダが写っていた。
「りょーかい。でもこれって......なんかちょっと日来課長に似てるような......」
「あ、そういえば確かに、ふふっ。これも同じくらいの大きさのをお願いね。これお金、先に渡しておくわ。おつりはいらないけど、もし足りなかったら後で請求してね」
「はぁい。で、このパンダ、さっきのウサギの仲間なの?」
「ううん仲間じゃないわ。『ほわほわパンダ』君は『むちむちウサギ』ちゃんの旦那様なのよ」
ふーん......
........え?
ちょっと待って??
このウサギ......女の子なの???
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