夜食
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「それじゃあ、お先に失礼しまーすっ!!」
ようやく今日の分の仕事を終わらせて、帰るっ!!
疲れたぁ~(涙)
うちの部署は課長をはじめとして、まだ数名の男共が残業していたけどね。
え? 他の部署?
モチロン、だーれもいませーん(呆)
「はいお疲れさん。明日もがんばろうね」
「あと数時間で明日じゃないですか(呆)」
外へ出るとたくさんの光と音、そして何よりいい匂い。
まだまだ町は賑やかだわ。
おなかペコペコ、夜食にラーメンでも食べて帰ろっと。
......ん?
ええ、夕方にコンビニのおにぎりを3つほど食べましたが、それが何か???
.............................................
少し大きめの、それでもいかにも「町中華」って感じのお店。
お店の外にまで中の喧騒がもれてきてる。
ここは私のお気に入りで、最近じゃ店員さんに顔を覚えられてしまったもんだから、
「おや姉さん、いらっしゃいませっ!!今日もお勤めご苦労様ですっ!!」
「「「いらっしゃいませっ!!!」」」
......ほらね?
最初はちょっと恥ずかしかったけどもう慣れた。
少し色あせた赤いカウンターに腰掛けると、すぐにお冷を持ってきてくれる。
「はいどうぞ!ご注文はいつもので?」
「うん、ラーメン大盛にミニ天津飯のセット。あとは......水餃子もちょうだい」
「まいどぉっ!!」
ビールも頼むかどうか迷ったけどやめておく。
その決断の上での「焼き餃子」じゃなく「水餃子」なのよ。
明日も忙しそうだし......(涙)
お冷をひとくち飲んであたりを見まわすと、深夜の時間帯だというのにがやがやと賑やかだわ。
もちろん酔客が多いけどね。
あっちこっちのテーブルでは、お父さん達やお兄さん達がビールをごくり、餃子をパクリって感じで楽しげにおしゃべりしている。
そうそう、ここの焼き餃子って少し冷めても美味しいし、濃い目の味がまたビールにあうのよ。
やっぱり黄金色のシュワシュワが......ああぁダメ!
せめて週末までガマンがまん!
耐えるのよショウコ!!
グゥ~とおなかが鳴る。
私のラーメン、まだかなぁ???
「はいどうも失礼しますっ!!!ラーメン大盛と天津飯、おまちどぉさまでしたぁっ!!!水餃子すぐ来ますんでっ!!!」
「ありがとー」
いそいそとお箸を割って黄色いちぢれ麺をリフト、ふぅふぅと息を吹きかけてから勢い良く啜り込む。
鶏ガラ醤油だしのスープをまとった小麦の香りが口一杯に広がって、あーシヤワセ。
次はメンマと一緒に麺を咀嚼してゴックン、お箸を持ったままどんぶりを両手で持ち上げ、スープを啜る。
ズズッ!
ズズッ!
ズズッ!
立て続けに合計3回、ふぅぅ......
今度はお箸をレンゲに持ちかえて、天津飯をかっ込む。
ハフハフ、熱っつ!
そのままレンゲでラーメンのスープをずびっ!!
ここの天津飯は、お醤油と出汁の餡で甘酸っぱくはない。
ま、好みは人それぞれだけど私はこっちの方が好きだな。
「はいお待たせしましたっ!水餃子ですっ!!」
「モゴモゴ、ふぁりがと」
小皿にお醤油と黒酢、ニンニクは......ガマンしよう。
あ、ちなみにここの餃子は中にニンニクは入ってなくて、タレにきざみニンニクを入れて食べるスタイルなのよ。
もちっとした皮を噛むと、お肉とお野菜の味が優しく、それでいてしっかりと元気をつけてくれる。
ハフハフ、もぐもぐ♪
ハフハフ、もぐもぐ♪
......水餃子、もう一つもらおうかなぁ?
「はい3番さんテーブル、小エビの天ぷらいただきましたぁっ!!」
「「「ありがとうございます!!!」」」
「はいこちら、瓶ビールですっ!! え?あ、はい! 7番さんテーブル油淋鶏追加でっ!!」
「「「ありがとうございます!!!」」」
「お客様お帰りですっ!!」
「「「いつもありがとうございますっ!!!」」」
いつ来てもここの店員さんは、みんなやたらと元気が良い。
働くのが楽しくてしかたがないって感じなのよ。
だからお腹もいっぱいになるし、明日の元気もちょっとだけもらえる。
以前ちょっと気になって一応確認はさせてもらったんだけど、「お薬」の過剰摂取はしていないってことだったし。
......ま、素の状態で元気一杯な人達なんでしょうね。
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