ちょっと昔のこと 1
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「それじゃあショウコちゃん、お先にね」
「はーい、お疲れさま~」
歌保ちゃんがバイバイしながら帰っていく。
それをトホホと見送る私。
やっぱり今日も残業.....えーん(つд⊂)
カナピーよー(涙)
「いやだから、アンタにぶりっ子は似合わへんて......」
「......ほっといて下さいよっ!」
.............................................
思えば私、ショウコさんがこの会社の入社試験を受けたのは、大学の友達がほとんど内定をもらってホッとした空気の中、残された人達がよりいっそう焦燥と悲壮感をにじませる夏ごろのことだったわ。
サークルの飲み会やバイトをなんとなくこなし、ぼんやりダラダラと学生生活を送っていたのんびり屋のショウコさんは、就職活動ってイベントにはスタートから完全に出遅れてしまってたの。
あわてていくつかの会社へ試験や面接を申し込んだけど、時すでに遅しって状態(汗)
かててくわえて、私は「S2」を持ってたもんだから、ある一定レベル以上の会社へ就職する必要もあったし.......
なんとかゼミの教授に泣きついて、いくつか面接を受けさせてはもらったんだけど「学生時代に力を入れていたこと」だの「これならば人には負けない特技」だの、何のアピールポイントも無かった私は連戦連敗。
両親にも「就職浪人だけはやっちゃダメ!ご先祖様に申し訳が立たない!」って厳命されてたこともあって、後半はなりふり構わずあらゆる職種を受けまくった。
で、ぎりぎりの私をなんとか拾ってくれたのがこの会社なのよ......
......
.....
...
面接官は、入社以来多分一度も会ってない支店長と、たまたまその支店に視察に来ていた専務だった。
面接はほとんど専務との会話に終始、支店長は完全な空気だったわ。
今にして思えば、うちの会社ってちゃんとした人事担当者がいないのね......
「ええと、潟田ショウコさんね。どうぞ座って」
「は、はい。よろしくお願いいたします」
「そんなにかしこまらなくてもいいよ。面接なんかでその人となりなんて分かりゃしないんだから」
「は、はぁ......(じゃあ何でこんなことするんだろう??)」
「ま、セレモニーみたいなもんかな? で、どうしてウチを受けようと思ったの?」
「は、はい、やはりこれからは超広域宇宙生活圏連合な観点から世界を見ないといけないと思いまして、それにはやはり御社のように......」
「ああ、そういうのはいらない。もう聞き飽きてるから。えーとね、体力に自信ある?」
「あ、はい、多分......」
「徹夜は平気?」
「え? いやあの......ま、まあ」
「度胸と根性は人よりある方だと思う?」
「はい(ヤバい......ここって絶対にブラックじゃん......)」
とは言え、なんとか内定をもらっておかないと、このままじゃ無職まっしぐらだわ。
ここはもう腹ををくくるか!
「はいっ!何でもやります!体力と根性だけは自信があります!(ホントはどっちも自信ないです!)」
楽してのんびり生きていたいです!!
でもやっぱり、お金は稼がなきゃ......
「ふーん......ま、「S2」も持ってることだし、とりあえず日来に任せてみるか??アイツなら面倒見が良いからな。 ......使い物になるかどうかは分からないけどね」
「そうですね」
ここで初めて支店長がしゃべったわ(この一言だけだったけど)。
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まあ、そんなこんなでなんとか内定を勝ち取った私は、今日も残業に追われる日々を送っているのよ。
今日もケナゲにがんばる私......しくしく(T_T)
でも負けないモンっ!!
「いやだから、アンタにぶりっ子は似合わへんて......」
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