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【闇】が深い王女の愛が重すぎてゾクゾクするんですけど!  作者: 雪月花


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 ラフベルク王子とサフィアが対峙する。


 ラフベルク王子の後ろには彼が率いる騎士団たち。

 サフィアの後ろにはアステルたちや同国の騎士団たちが固唾をのんで見守っていた。


 アステルは嫌なドキドキがおさまらなかった。


 キング戦の主役である2人は、静かに剣を鞘から抜いた。


「一度サフィア王女と戦ってみたかったんだ」

 ラフベルク王子がニヤリと笑う。

「お前のその綺麗な顔が苦痛で歪むのを拝見させてもらおう」

 そう言いながらラフベルク王子が剣を構えた。

「……悪趣味ですわね」

 サフィアも両手に力をこめて剣を構える。

 次の瞬間、お互いが相手に剣を振りあげ、ぶつかり合う音が響いた。


「噂通り、早い剣捌(さば)きと連撃だな!」

 ラフベルク王子が言うように、サフィアが素早いステップと多彩な攻撃を繰り出す。

 けれどラフベルク王子はやすやすと防御する。

 そしてサフィアの攻撃の合間に力強い一撃をお見舞いする。


「……くっ!」

 サフィアは剣で防御するも体重が軽いので後方に吹き飛ばされた。

 けれどしゃがみながら着地することで体勢を大きく崩さないようにするのと同時に、スタートダッシュして相手に突っ込んでいく。


 さすがの〝キング戦〟である。


 


 けれどサフィアの細やかな表情が読み取れるアステルだけには分かっていた。

 

 サフィアはずっとずっと泣きそうになるのを我慢していた。

 震えて上手く戦えていない。

 生誕祭でラフベルク王子を前にした時と同じだ。


 サフィアは普通の女性と何も変わらないのに、王族だからって全ての責任を、国を背負って立っている。


 


 ……助けたい。

 今、助けないと!!


 


 疲労が溜まってきたサフィアが一瞬だけ相手の反応に鈍くなった。

 その隙にラフベルク王子の剣が大きく振り上げられる。

 

 〝やられる!〟と思ったサフィアは思わず目を瞑(つぶ)った。




 ーーーーーーーーーー


 けれどいつまでたっても剣が振り下ろされない。

 サフィアはそっと目を開いた。


「……アステル!!」

 サフィアの目の前には間一髪でラフベルク王子の剣を自身の剣で受け止めているアステルがいた。

「邪魔をするな!!」

 ラフベルク王子が剣に力をさらに込めながら叫ぶ。


「……俺も〝キング〟だ!!!!」

 アステルが青白い光に薄っすら包まれてラフベルク王子の剣を跳ね返す。

 その衝撃で相手は少し後ろに下がった。



「サフィア! 下がってて!!」

 アステルはラフベルク王子に対峙したまま叫ぶ。

「……なるほど。サフィア王女の伴侶であるから同等の立場で〝キング〟だと言うことか。良いだろう、相手にしてやろう」

 ラフベルク王子が人差し指を上にむけてクイクイっと動かし挑発する仕草をした。




 自分がどうなってもいいから、目の前の敵を倒すんだ!

 これ以上サフィアを傷付けさせない!


「俺がサフィアを守る!!」


 アステルは力強く真っ直ぐな目線をラフベルク王子にぶつけ、むかっていった。




「ハハハハッ! その程度か?」

 ラフベルク王子が高笑いをする。

 剣と剣が幾度となくぶつかりあう。


 強い! 一撃一撃が強くて重い!

 けれど……


 アステルは冷静に相手を見ていた。

 

 ラフベルク王子の攻撃は威力が半端なく強いが大振りである。

 そして特に大振りになる攻撃の後が狙い目だ。

 ただ攻撃範囲も広いので、攻撃が終わったあとからこちらが動くと間に合わない。

 

 …………


 


 アステルは一瞬だけ迷ったがすぐさま決断した。

 戦いの時間が長引けば長引くほど不利になるからだ。


 絶対勝ちたい!

 何としてでも!!


 ……今だ!


 アステルがわざとラフベルク王子の間合いに入る。

 そしてそのまま相手の懐に飛び込み、剣を振り抜いた。


「アステル!!」

 サフィアの悲鳴にも似た叫び声が聞こえた。




 ーーーーーーーーーー


「相打ちだ……」

 見守っていたエミールが呟くように言った。

 ラフベルク王子は倒れていたが起きあがろうとしており、アステルは肩を押さえながら座り込んでいた。


「アステル! 大丈夫!?」

 サフィアがアステルに駆け寄る。

 そしてサフィアもしゃがみ込んでアステルの顔を覗き込んだ。

「いててて……少しだけ喰らっただけだから大丈夫」

 アステルは肩がめちゃくちゃ痛いのを我慢して微笑んだ。




 ラフベルク王子は補佐役の騎士に支えながら立ち上がった。

 そして座り込んでいるアステルたちの方へ近づいてきた。

「……これ以上は続行出来なさそうだな。続きは次の楽しみにしておいてやろう」

 ラフベルク王子はアステルにそう言うと背中を向けた。

「次は容赦しない」

 そう捨て台詞を吐くと自国の陣営に戻っていった。


「あれ絶対痩せ我慢だよ。アステルの攻撃まともに喰らってたから」

 サフィアがラフベルク王子に聞こえないようにアステルに耳打ちした。




「勝った!!」

「流石です! アステル殿下!」

「よく王女様を守った!!」

 アステルたちの第一騎士団が歓声で沸く。



「……良かったー」

 アステルはラフベルク王子が去ったことにホッとして一気に気が抜けた。

 そして気を失い倒れた。



「……アステル? アステルー!」

 

 サフィアの声が聞こえた気がしたが、アステルの意識がそこで途切れ深い眠りに入っていった。



 

 



 

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