回文童話「歌合戦」
六か村田植え歌合戦に誘われたキリムラさん。
「お弁当付きで、聞くだけだから」
と言うので見に来たのだった。
「よく来てくれたね。キリムラさん」
畦に腰を下ろしていたカドタさんが立ち上がった。
畦道には、季節はずれの土筆のように、見物人が座っている。
「今から、タモン婆さんの歌が始まるよ」
田植えの終わった水田の向こうの畦道に、素朴が服を着たような、やや小太りのお婆さんが現われた。
そして唄い出す、
「田植え歌オペラ」
田植えの大切さを朗朗と歌い込むタモン婆さん。
あまりの声量と内容に、のけ反って感動するキリムラさん。
タモン婆さんが一節唄ったあとは、野良着姿の一団がオペレッタを始めた。
そしてさらに、シャンソン!
リズム・アンド・ブルース!
ロックンロール!
「どうだい、キリムラさん。感想は?!」
「いやあ、来て良かったですよ。新鮮です!」
「わたしも、イソザキさんに教えられてね、最初は半信半疑で来たんだが、感染しちゃった」
「ぼくも感染しました。誰かに移そう!」
(こういう感染なら、大歓迎だ!)
と、少し風邪気味なキリムラさんは思った。
(感染して新鮮か)
かんせんしてしんせんか
回文ショートショート童話「のほほん」毎日更新中。
朝、ほぼ7時台。
と、
昼、ほぼ12時台。
(今日は「魔人ビキラ」の投稿があるので、ズレます)
同サイトにて、回文妖術師ビキラの冒険ファンタジー、
「魔人ビキラ」を連載中。
よかったら、読んでみて下さい。
「魔人ビキラ」の最新話は、本日お昼、12時台に投稿予定です。




