回文童話「梨園あるある物語」
「この梨園は、少し酒臭くないかね?」
梨学会の偉い人が、某梨園を抜き打ち監査に来ていた。
「出荷が間近なもので……」
梨園の園長が恐縮の態で答えている。
「浮かれているのかね? それは駄目だろう!」
ビシッと叱る偉い人。
梨園の地面に、スルメの切れ端、ピーナッツ、小魚の破片が散乱していた。
「いや、これはイカんだろう、いくらなんでも」
学会の先生は目を三角にして高い声を出した。
「はあ、申し訳ありません。『どうせ出荷したら、喰われて死ぬんだ』と、言いやがるもんですから」
「末期の水と言いますかね、おつまみと酒で済むなら安い物だと」
「たとえば死ぬ前に、『雲丹をアンコに使った今川焼きが食べたい』と言われて、あなた、断われますか?!」
口々に反発する梨園の人々。
「一体誰が、そんなことを言っているんだね!?」
梨園の人々は、そこら中にぶら下がっている梨を指さした。
(だらしない梨らだ)
だらしないなしらだ!
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