回文童話「ドレミの歌、唄うの見れど」
夫婦で買い物に出て、街角で、ウクレレを演奏している人を見た。
体をゆすって、明るい笑顔で「ドレミの歌」を唄っている。
聴衆たちは、手拍子を打って見ている。
「器用なものね。『レ』の音を抜いて演奏してる」
立ち止まり、聴衆のひとりとなって、妻が言った。
「『レ』の音を抜いているって、技術的なものかい?」
と、ぼくは妻にたずねた。
「そりゃそうでしょう?」
妻も手拍子を打ち始めた。
「そうかなあ」
微かな咀嚼音が聞こえたような気がしたので、ヘソ曲がりのぼくは、
「『レ』は食べられてんじゃないのか?」
と、言った。
「まさか。誰が食べるのよ」
妻は笑って言った。
演奏が終わると、
「あら、本当に食べられていたんだわ」
と妻は言って、ぼくの顔を見た。
ウクレレが、ゲップをしたからである。
(ウクレレがレレ喰う)
うくれれが、『れれ』くう!
(ドレミの歌唄うの見れど) ← タイトル
どれみのうた、うたうのみれど
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