回文童話「視線」
学校の、お昼休みのことである。
亀井くんは、お昼ご飯を食べていたが、誰かの視線を感じて、食べる手を止めた。
そして辺りを見回す。
亀井くんの様子がおかしいので、
「どうしたんだい亀井くん」
と、隣の席の岡村くんが声をかけた。
「うん。誰かに見られているような気がして……」
と、亀井くん。
「考えすぎだよ、亀井くん。早くご飯を食べて遊びに行こうぜ」
読書好きの岡村くんは、
(これが思春期にありがちな、自意識過剰か?!)
と、思った。
「ああっ、そいつだ!」
亀井くんは大きな声を出して、岡村くんの弁当箱を指さした。
「ぼくの弁当箱が?」
岡村くんは自分の弁当箱を見たが、ご飯もおかずも、もうほとんど食べてしまっている。
「その隅っこのご飯つぶが、横目でぼくのことを見てるんだよう!」
亀井くんは声を震わせて、岡村くんの弁当箱に指を突きつけたまま、立ち上がった。
(流し目の飯がな)
ながしめのめしがな
シラスなどは、目が合うから食べたくない。
という人もいるようです……。
楽しく、短く、をモットーに書いております。
しかし、意味はありません。
ナンセンス押しですが、息抜きになればさいわいです。