回文童話「お蔵入り」
大きなお屋敷の大きな蔵に、まんまと忍び込んだ泥棒三人組。
「当たりだったな。蔵なのに、畳が敷いてあるぜ」
リーダーの泥左衛門が、懐中電灯で蔵の中を照らしながら言った。
「襖もある。開けるのが楽しみだ」
「板張りの突き当たりにあるのは、葛籠の山ですぜ」
泥太が言った。
ツヅラとは、フジの蔓で編んだフタ付きの籠だ。
昔話では、宝物が色々と入っていると、相場が決まっていた。
「こりゃあ、盗まねぇと罰が当たるぜ」
泥助は、泥棒の神に祈った。
と、その時、
「ふはははははは! この蔵を、風魔小太郎が末裔、この風祭小三郎の作と知って盗みに入ったか?!」
割れ鐘のような声が、蔵の中に響いた。
「うっ、見つかっちまった!」
畳が勝手に跳ね上がった。
「うわっ、畳返し!」
襖を突き破って槍が飛び出した。
「うわわっ、槍襖っ!」
突如として煙が巻き上がった。
「ひゃあ、煙玉っ!」
天井が落ちて来た。
「ぎゃあ、釣り天井っ!」
泥棒どもの運命や如何に?!
(絡繰蔵か)
からくりくらか
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