回文童話「鈴木大五郎の記録」
練習場で、非公式ながら再び日本新記録を出す鈴木大五郎。
「すごい。マグレじゃなかったんだ」
やや呆然とした様子でつぶやく大五郎。
「よし! 協会に申し立てて来るよ、大五郎!」
深田コーチは力強く言った。
「彼の記録が伸びるんですがねえ、なんとかなりませんか?!」
協会事務所で、コーチの深田さんが訴えていた。
「そんなの、本人の思い込みでしょ? 絵なんか描かなくても、記録は伸びるはずです」
協会の人は保守的だった。
「地味じゃないですか、無地で。絵を描くことで個性が出ますよ、競技に」
「しかし、前例がありませんからねえ」
協会は保守的なのだ。
「これを前例にすれば良いんです。我らが鈴木大五郎の円盤を!」
「いやあ、ワシらが前例を作るのはちょっと……」
繰り返すが、協会は保守的なのだった。
「そこをなんとか。記録更新のチャンスなんですよ!」
深田コーチは食い下がったが、柔道のカラー道着化より、むずかしそうだった。
(円盤投げ南蛮絵)
えんばんなげ、なんばんえ!
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「のほほん」で、また明日。




