回文童話「続・おやつ」
いつも姉のミサトちゃんに、おやつを食べられているウカト君は、一念発起して、逆襲を試みた。
ミサトちゃんのおやつは、リビングのテーブルの上に、ラップをされて皿に乗っている。
今日は、バウムクーヘンだった。
ラップの上には、
「食べるとヂゴクに落ちるぞ」
と、いつもの注意書きの紙が貼ってあった。
「ミサト姉ちゃん、毎日ヂゴクに落ちてて偉い」
ウカト君は、改めて感心した。
「死んだら皆んな、一度はヂゴクへ行くんだ」
どこで仕入れた考えか、そんなことをつぶやき、ラップを取るウカト君。
「こっ、これが姉ちゃんのおやつ……」
それはウカト君のおやつと何ら変わるところはなかったが。
ぱくり!
と、バームクーヘンをひと口食べる。
「おいしい!!」
自分のおやつは食べたばかりだったが、
「ぼくのより、ずっとおいしい!」
と、背徳の蜜に酔うミサトくん。
最後のひと口を食べたところで、ミサトちゃんがリビングに入って来た。
「ああっ、ウカト! わたしのおやつを食べたわねっ?!」
弟の思わぬ反撃に驚き、思わず笑ってしまうミサトちゃん。
「たっ、食べてないよ」
口の中にバウムクーヘンを残したまま、もごもごと訴えるウカト君。
「嘘おっしゃい、その口の周りのカケラはなんなの!」
ありもしないカケラを指摘する姉、ミサトちゃん。
「食べてないよ。かっ、貸してるだけだよ、本当だよっ」
ウカト君は口をぬぐいながら言い返した。
(確かに今胃に貸した)たしかにいま、いにかした!
回文童話「のほほん」毎日更新中。
朝、ほぼ7時台。
と、
昼、ほぼ12時台。
(今日は、「魔人ビキラ」の投稿とかぶるので、無理かも)。
同サイトにて、回文妖術師ビキラの冒険ファンタジー、
「魔人ビキラ」を連載中。
よかったら、読んでみて下さい。
今日、28日(土曜日)は、
第三十一話「旅館あるある物語(前・三話)」昼の12時頃に投稿予定。
(後・二話)は、明日、29日(日曜日)に投稿予定。




