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回文童話「書き置き」

ハガロウ氏は、海岸線のマンションに引っ越して来た。

海のない県で生まれ育ったので、ベランダから海岸が見えるのが嬉しかった。


トンビが、マンションの上空で輪を描いている。


さっそく、マンション前の海浜(かいひん)公園を散歩するハガロウ氏。


防波堤を歩いていて、一枚の紙切れを拾った。

「あちらでまた一緒に」

と書いてあった。

「な、なにこれ?! 遺書?!」


ハガロウ氏は、思わず防波堤から身を乗り出し、海面を見た。

昼下がりの陽光を受けて、海面はきらきら輝いているばかりであった。


「あっ、あっちにもある」

防波堤の上にまた、紙切れを見つけるハガロウ氏。


走って行き拾ってみれば、今度は、

「もう待てません。先に行きます」

と書いてあった。

「こっちは女性らしい文字だ。心中かっ?!」


散歩中の人をつかまえて、

「ほ、ほら、これを見て下さい。大変なことにっ!」

と訴えるハガロウ氏。


「ああ、そういう季節ですからね」

散歩をしていた人は、立ち止まってそう答えた。


「き、季節? 心中の季節?!」

頓狂な声を上げるハガロウ氏。


「カモメはウミネコと違って、渡り鳥ですからね」

散歩おじさんは汗を()きながら、なんでもないように言った。

「なに。寒くなれば、また帰ってきますよ」



(カモメのメモか)

かもめのめもか


回文童話「のほほん」毎日更新中。

朝、ほぼ7時台。

と、

昼、ほぼ12時台。は、たまに休むこともあります。

明日は、「魔人ビキラ」とかぶるので、投稿が出来ても時間がズレると思います。


同サイトにて、回文妖術師・ビキラの冒険ファンタジー、

「魔人ビキラ」を連載中。

明日、25日(水曜日)の12時台に、

第三十話「弱点攻略」の巻。を投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 回文的にはカモメのメモだから綺麗にオチが付いてるのだけど、他の生態系のメモだったらどんなことが書かれてたりするのだろう‥と想像が膨らむ良いショートストーリーでした。
[良い点] カモメのメモかという回文だけでこんな劇的なお話が作れるの凄い……!めちゃくちゃ好みの話でした
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