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回文童話「仕事熱心なキンジ君」

下校中の、男の子たちの会話だった。


「極楽って、差別があっちゃいけないだろ?」

少し意地悪そうな顔をしたキンジ君が言った。


「ああ、それはそうかなあ」

と、シロウくん。


「だから極楽じゃ、皆んな同じ顔をしていて、背格好も同じで、声も同じで、同じ服を着ているらしいぜ」

キンジ君が、手を振り回して力説する。


「うひゃあ。ウンコの長さも同じかよ?!」

と、ウンコ博士のハルト君。


「たぶん、一緒だ!」

キンジ君は力を込めて言った。


「食べ物も一緒かな?」

と、将来、フードファイターになりたいアキフミ君。


「ああ、弁当の交換なんか出来ねえぜ」


「いやな所だなあ、極楽って」

アキフミ君がつぶやいた。


「だろう?! 行きたくねーーよな、極楽なんて」

キンジ君が嬉しそうに言った。


その時、四つ(かど)をこちらに曲がって、少しぼんやりした顔のキンジ君が現れた。


「おう、キンジ。どうしたい、いつものボンヤリした顔をして」

と、ハルト君。


「えっ?! じゃあ、こいつ誰だよ」

と、横にいるキンジ君を見るアキフミ君。


横にいるキンジ君は、

「いっけねーー。早かったなあ」

と言って、尻尾(しっぽ)を出して走り去った。

尻尾の先は、矢印みたいな形をしていた。


「どうしたキンジ君。たった今まで、キミの偽物(にせもの)と一緒だったんだぜ」

少し得意そうに、シロウ君が告げた。


「ああ、信じてもらえないかも知れないけど、悪魔に捕まって、変な空間に閉じ込められてさ」

と、キンジ君。

「でも、観音様が助けてくれたんだよ」


「信じるよ、キンジ君」

級友たちは、異口同音にそう言った。


「ありがとう、皆んな。苦しい時は、神頼(かみだの)みしろよ。本当だぜ」

いつもボンヤリした顔のキンジ君が、すごくしっかりした声で、そう言った。



(極楽は苦楽後)

ごくらくは、くらくご




回文童話「のほほん」毎日更新中。

朝、ほぼ7時台。

と、

昼、ほぼ12時台。

(お昼はたまに、休むことがありますが)


同サイトにて、

回文妖術師・ビキラの冒険ファンタジー、

「魔人ビキラ」を連載中。

ほぼ、一話読み切り形式です。

こちらの投稿は、水曜日と日曜日。

たまに、金曜日〜土曜日にも。

  よかったら、覗いてみて下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 極楽で差別が生まれないように皆んな同じって面白い考え方だなぁとも思うし、皆んな平等というところが日本人の発想だなぁとも思いますね。 そんな中でウンコの長さを気にするところは逸材だ‥。
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