回文童話「その鷹、銀次郎」
その鷹、銀次郎は、筋肉の間に脂肪が入り込んでいる、いわゆる霜降り肉状態であった。
「ああ、飛ぶのが億劫だ」
と、つぶやくが、銀次郎は鷹である。
虚空高く舞い上がり、地上や空中の獲物を狙うのが生業だ。
さいわい、銀次郎は風に乗るのが上手く、固太りを他の鷹に知られずにいた。
「羽毛太りなだけ」
だと言い張り、誤魔化している銀次郎。
「ああ、地を這うように蠢いている人間どもがうらやましい」
空から、色々な意味で食えない二足歩行獣を見下ろして、つぶやく銀次郎。
「奴らは、この固太りで空を舞う苦労を知るまいて」
地上を這う人間たちにも、仲間同士の軋轢は数え切れないほどあったが、もちろん銀次郎は知らない。
「重い重い。体が重い。くそ、次はもっと軽いモノに生まれ変わるぞ」
銀次郎は、重い体に手こずりながらも、上昇気流に乗って、一気に高みをめざした。
(固太り飛ぶ鷹)
かたぶとり、とぶたか
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今日、二十日金曜日(スーパー5%オフの日)、
第二十八話「農婦の、おタネさん(前篇)」の巻
を、アップします。
お昼、12時台には、
「のほほん」の、銀次郎の続編、
「チクワまたは銀次郎」を掲載します。
↑。申し訳ありません。
投稿が遅れて、12時台とは言えない時間になりました。




