回文童話「コミックマーケット」
コミケで売る同人誌の内容を相談してる男たち。
「良い情報だぜ」
と、某盗作作家が言い出した。
ここは、彼のアパートの居間である。
三人の男が、小さな卓袱台を囲んでいた。
「自由に使って良いらしい、超有名ネタがあったぜ」
「なんだよそれ、勿体ぶらずに言えよ」
と、某ゴーストライター。
「ガンダム系、パクリ自由らしいぜ」
「あ、お前、騙されてる。それ、一番危ないヤツな」
と、超無名作家。
「なんだよ。オレ、確認して来たんだからな」
盗作作家は、そう言ってタブレットを開き、
『河豚のグフ』という投稿作品を二人に見せた。
「いやそれ、フグの名前がグフなだけだろう。フグの話だろう」
と、ゴーストライター。
「『ザクとは違うのだよ、ザクとは』という台詞もあるんだぜ」
「だから、ザクってのもフグの名前だろう」
うんざりした様子で、ゴーストライター。
「ほら、ここに小さく『機動トラフグ物語』って書いてあるじゃないか」
「駄目だって、ガンダム系。もの凄く厳しいから」
超無名作家が、トドメとばかりに言った。
「お前、賠償金で破産したいのかよ」
「えーーー。これ、ガセネタかよ。畜生」
盗作作家は悔しそうにつぶやいた。
「手を出させてといて、後で捕まえようって言う、汚い大人の罠だと思う」
超無名作家は、神妙な顔になって言った。
結局、三人は、それぞれのオリジナル作品で同人誌を作り、売った。
無論、まったく売れなかった。
居直って、パクリまくれば良かったのだ。知らんけど。
(無断画だガンダム)
むだんがだ、がんだむ!
他に、
「普段が普段のノンダフガンダフ」
ふだんがふだんの、のんだふ、がんだふ。
「無断で乗るのデンダム」
むだんでのるの、でんだむ!
など考えましたが、使い道が無さそうなので、ここに書き記しておきがんだむ。
第六十三話「パラダイス」が、分かりにくい、という指摘を受けましたので、書き改めました。




