回文童話「十二支レース異聞」
先着順で十二支を決める、動物たちのレースの話である。
鵺も参加しようとしたのだが、神様に、
「お前は訳が分からないから駄目だ」
と、言われた。
ヌエは、サルの頭部、タヌキの胴体、トラの手足、尻尾はヘビ、という生き物だ。
「されば」
と、ヌエは、サル、タヌキ、トラ、ヘビに分裂した。
「ううむ。それなら良かろう」
と、神様も許した。
もともと、ヌエも神様が造った生き物である。
レースが始まり、必死に走るサルの頭、タヌキの胴体、手足だけのトラ、そしてヘビ。
必死の甲斐あって、サル、トラ、ヘビが十二支に加えられた。
タヌキは十二支に漏れたが、
「やーーい、ノロマども。追いついてみろ」
ゾウ、イタチ、ネコ、クスクスなどを後先考えず挑発し、違う道に誘い込んで失格とさせた。
タヌキは、陰の大功労者なのであった。
だから、サル年、トラ年、ヘビ年の夜に、タヌキはよく鳴くのである。
そしてその鳴き声は、地域によっては、ヌエの鳴く声だと、言われていた。
(加えぬぞ鵺枠)
くわえぬぞ、ぬえわく
来年はタツ年。
龍より速い連中、凄い。
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