回文童話「イコ医院に行こう!」
ここは、一部マニアックな患者に支持されている「イコ医院」だ。
「うーん。あなたの顔の中央にフルヘッヘンドしておるモノは、鼻と言う」
「あの、イコ先生。わたしはお腹が痛いんですが」
またピロリ菌が悪さしているのではないか? と心配になり、診てもらいに来た松田さんだった。
「しっ。イコ先生には今、かの有名な杉田玄白が降りているのです」
「すぎ? 誰ですか、それ?」
「江戸時代の蘭学医です。著書『解体新書』の全知識をもって、あなたの胃痛を治すのです」
「あの、もう少し新しい時代の医者に来てもらえませんか?」
「無理です。イコ先生はあの時代の人物に恋しておられますから」
「そうそう、平賀源内や田沼意次でなくて、ラッキーだったと言えるでしょう」
「ありがたや、ありがたや」
「はい、松田さんもご唱和下さい」
看護師たちは口々に言った。
「ああっ。ターヘルがアナトミアしておる!」
イコ先生は天井を振り仰ぎ、髪の毛を掻きむしった。
治療はこれからなのであった。
(恋しい個体イタコ医者イコ)
こいしいこたい、いたこいし、いこ!
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回文妖術師・ビキラの冒険ファンタジー、
「魔人ビキラ」を、一話読み切り形式で連載中です。
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コロナワクチンの6回目に行って、浮かんだ話です。
発熱はなし。体が重だるい。ぼちぼちでんな。




