回文童話「小さな動物園」
それは、小さな動物園だった。
動物の数も少ない。
イヌ、各種。ネコ、各種。ネズミ、各種。ニワトリ、各種。
イタチ。テン。ハクビシン。オコジョ。
ポニー、一頭。
子供の乗馬コーナーが人気だったのだが、頼みのポニーが老齢で、引退してしまったのだ。
「イタチのイタ吉の夜尿症、治ったらしいですね、園長」
「うむ。昼寝して漏らすようになったら、夜尿症は治った」
オーナーの税金対策で、運営されている動物園なのだった。
そこへ、オタクっぽい客がやって来た。
「あのう、白クマがいると聞いたんですが」
「白クマじゃないけど、一番奥の檻です」
今度は、マニアっぽい客がやって来た。
「斑のクマがいると聞いたんだけど」
「ブチのクマではないけど、一番奥の檻です」
次は、怪しい客がやって来た。
「ここですね、オレンジのクマがいる動物園は?!」
「オレンジのクマじゃありませんが、一番奥の檻です」
「あいかわらすのプチ人気ですね、一番奥の檻」
「ちと育ちすぎたからのう。クマと見紛うほどに」
まんざらでもない様子で、園長は顎を撫でた。
「おかげで人気が出たが」
(クスクスがスクスク)
くすくすが、すくすく
クスクスが分からない人は、今すぐ検索してみよう。
作者もそうやって、話を書いたそうです。
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回文妖術師・ビキラの冒険ファンタジー、
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