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回文童話「おっちょこちょい」
ある陸上競技大会の、観覧席での、あいつに関する会話。
村 上「あっ、あいつ、コケちゃったぞ」
川 本「トラック競技、向いてないんじゃないのか? あいつ」
坂 田「でもあいつ、練習熱心らしいぞ」
島 「そうそう、普段の記録だって、オレよりよっぽど良いんだぜ、あいつ」
村 上「それは偉いなあ、あいつ」
川 本「でも、おっちょこちょいらしいな、あいつ」
坂 田「そう言えばあいつ、今日はランニングシャツを後ろ前に着ていたらしいぞ」
島 「あいつ、きっと緊張してたんだよ」
観覧席の若者たちは、大会に出場している友人を、「あいつ」呼ばわりしていたが、それは決して、見下していたわけではない。
日本語では発音しづらい、あいつの名前のせいだった。
村 上「あいつの、オッチョコチョイは痛いよなあ」
(おっちょこちょいなイョチコョチッオ)
おっちょこちょいな、いょちこょちっお
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