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回文童話「台風が来た」
「今、来てる台風、凄いらしいぜ」
と、単一電池。
「おお、ついに我らの出番か?!」
トイレットペーパーが言った。
「なに言ってんの。台風が来てるからって、お尻をたくさん拭くわけじゃないでしょ」
と、乾パンが冷たく言い放つ。
「そこは我らの出番であろうよ」
と、サバ缶。
「あーー、それはそうかも」
と、フェイスタオル。
「皆んなが一致団結する時なんですよ」
「良いこと言うね、歯ブラシさんは」
練りハミガキがそう言った。
近くの川が決壊しそうだと言うので、家族は貴重品を持って、大慌てで、高台の小学校に避難して行った。
押し入れの買い置き品には、目もくれなかった。
(買い置きの気負いか)
かいおきのきおいか?
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