回文童話「監査員カグラコ」
カグラコさんは、本店から来た監査員だ。
支店に不備がないか、見て回っているのだ。
不備はクレームや客離れ、ひいては売り上げの減少につながる。
「なぜこの店は、南天の実を干しているんですか?」
「あの、本店でやっていると聞きまして……」
支店長が恐縮の態で弁明した。
「違います。ただちに引っ込めて下さい。クレームが来たら、どうするんですか?!」
「なぜこの店では暗幕が掛かっているんですか?」
「それはもう、すみやかに暗転するために」
支店長が自慢げに言った。
「そんなこと、本店は望んでいません。ただちに取り除いて下さい。お客様が迷ったらどうするんですか?!」
「なぜこの店では、皆さん半纏を着ているんですか?」
「はい、本店では着ていると……」
支店長はおずおずと答えた。
「違います。ただちに脱いで下さい。ハンテンではありません」
(伝言係に問題があるようね)
カグラコさんは確信を持って、そう思った。
(寒天干す本店か)
かんてんほすほんてんか?
楽しく短くをモットーに書いています。
しかし、意味はありません。
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