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回文童話「冷たいジロー」
ジローの級友たちが、ジローに内緒で集まって、密かに話し合っていた。
「今日のジロー君、どうしたのかしら?」
「うん。昨日まであんなに親しく遊んでたのに」
「ふん。とうとう本性が出たのさ」
「そういうキミは、いつも本性丸出しだよね」
「あだ名、変えなきゃ。もう、『親しみのジロー』じゃない」
やがて、ジローは転校が決まったので、これ以上親しくしたら別れがつらくなると思い、わざと冷たく接していたことが判明した。
「冷たいぞジロー、そんなことで」
「ぼくらはこれからも、ずっと友だちだ!」
「ふん。転校した途端に皆んなキミのことを忘れるのさ。そんな皆んなを叱り続けるのさ、オレは!」
「げっ。それがキミの正体だったのか?!」
「ジロー君、わたし、あなたのお嫁さんになる!」
ジローにとっても級友たちにとっても、そのやり取りは香ばしくも、なんでもない良い思い出になった。
(親近感監禁し)
しんきんかん、かんきんし
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