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「異常乾燥注意報」
その日、関東地方は、大気が乾燥していた。
特に、東京都港区にある複合施設、某赤坂サカスの辺りは、朝からカッサカサに乾いていた。
心配して、従業員たちが雑談の花を咲かせている。
「今日は空気が乾燥してるなあ」
「枯れ野だと、擦れ合う摩擦熱で、自然発火してるとこだぜ」
「この辺りに枯れ野はないけどな」
「余剰在庫の飲み物類を値引きして売れば、一石二鳥、いや三鳥じゃないか?」
「うんうん。在庫は捌ける。売り上げは伸びる。お客の喉は潤う」
「さっそくやろう!」
しかしその店の在庫処分は失敗した。
値引きが他の店より少なかったからである。
喉が渇いて倒れる者もいたが、その値引きのショボい店で飲み物を買おうとする者はいなかった。
少々値引きをしても、
「高い!」
そう思わせては、失敗なのだった。
(赤坂サカスかさかさかあ)
あかさかさかす、かさかさかあ!?
この物語はフィクションです。
東京都港区赤坂に実在する、某複合施設とは、何の関係もありません。




