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回文童話「落雷殺人事件」
崖の上の一本松の下で、殺人の現場検証が行われていた。
「デートしてたら、空が曇ってきて、雷が鳴り始めて……」
と、殺人容疑の美加さん。
「ふむふむ。そこで彼が、一本松の下に走ったのですな?」
と、刑事。
「わたし、そんな所に逃げたら危ないと思って……」
「そうそう。側撃雷と言う現象があります」
と、もうひとりの刑事。
「木に雷が落ちると、側にあるものに放電することがあるんです」
「だからわたし、大声で叫んだんです。『危ない!!!』って」
その美加さんの再現の叫びは雷となり、一本松に落ちた。
側撃雷が生じて、美加さんを直撃する!
「おおっと、危ない危ない。しかしこれで、彼女の証言は実証されたな」
と、刑事。
「でも、彼女も死んじまったぜ」
と、もうひとりの刑事。
「心中で良いんじゃないか、コレ」
「ふむふむ。別れ話を持ち出されて、先行きを悲観したんだな」
事件は無事に落着しそうだった。
(雷な美加)
かみなりなみか




