回文童話「トランプゲーム」
我が家のトイレ掃除は、いつもトランプゲームで決められる。
父、母、兄、ぼく、祖母が、いつものようにトランプを
始めた。
今日のトランプゲームは「ダウト」だ。
まず、トランプをよくシャッフルして、遊ぶメンバーに均等に配る。
カードを裏向きにして、ひとりずつ順番に、場に出してゆく。
何枚でも良いのが怖い。
出すカードの順番は決まっていて、1(エース)→2→3→4→……13(キング)と続いてゆく。
13まで行ったら、また1に戻る。
場にカードを出す時は、ウソでも声に出して、札の数字を言わなければならない。
そう、手に出すべき札がない時は、ウソをついて違う札を出しても良いのだ。
出された札がウソだと思ったら、他のメンバーが「ダウト」と宣言する。
本当だと思ったら、黙って見逃す。
そして今、ぼくには出すべき「8」の札がなく、
「はち?」
とウソをついて違うカードを出した。
「ダウト!」
父と母と兄と祖母が同時に叫んだ。
ぐぬぬ。見事に見破られてしまった……。
しかし、カードをめくって、ぼくの「ウソ札」を確認しないと、「ダウト」は成立しない。
母が家族を代表して、ぼくの置いたカードに手を伸ばす。
ああ神様。五回連続してぼくのトイレ掃除か?!
と、その時、天井から助宗鱈が降って来て、場のカードを皆んな吹き飛ばした!
やった、ノーゲームだ! 神様ありがとう!
(助宗鱈ダウト消す)
すけとうだら、だうとけす




