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回文童話「オトンとオカン」
ソウタくんのオトンは、のほほんとした顔を、していた。
「大人の便所はなんで長いの?」
ソウタくんは、子供らしい質問を、オトンにぶつけた。
「そりゃあ、命短し便所は長し、って言うだろう?」
オトンは、のほほんとした顔で答えた。
「大人は子供より寿命が短くて、悔しいから、便所が長いのさ」
「ぼくはなぜ、時々オネショをするの?」
「オネショよりヨイショと言ってな、ヨイショ、ヨイショと頑張って生きていると、そのうちオネショしなくなるぞ」
オトンはそう言って、ソウタくんの頭を撫でた。
「気にすんな。人それぞれだから」
(すごいなあ。ぼくのオトンは何でも知ってるなあ)
きらきらした目で父親を見上げるソウタくん。
そのオトンの顔は、特に頬のあたりがぷるぷるで、のほほんとしているように見えた。
オカンも一緒に歩いていたが、オトンの答があんまり恥ずかしいので、知らん顔をしていた。
(のほほんとオトン頬の) のほほんと、おとんほほの
(オカンらしい知らん顔) おかんらしい、しらんかお




