回文童話「スカンク臭い」
ナダムくんとカンダくんは日曜日に、動物園へやって来た。
「スカンクの檻はドキドキするなあ」
と、ナダムくん。
「オナラ、ぶっ放されるんじゃないかと思って」
「スカンクがぶっ放すのはオナラじゃないよ。分泌液だよ」
と、カンダくん。
「動物園のスカンクは、分泌液の袋を取ってあるから、ぶっ放せないんだよ」
やがて、スカンクの檻の前に到着するナダムくんとカンダくん。
オナラをぶっ放せないと知って、スカンクを挑発するナダムくん。
「ナダムくん、やめなよ。スカンクは臆病なんだから」
と、注意するカンダくん。
と、その時、スカンクは口を大きく広げて、とても臭いゲップをぶっ放した。
「うわっ、臭い!」
叫んで気を失うナダムくん。
(そうか、分泌液の袋を取られて、自己防衛のために)
と、霞みゆく視界にスカンクを捉えて、物知りのカンダくんは思った。
(スカンクのゲップが進化したんだ)
そしてカンダくんも、あまりの臭さに失神した。
(むスカンク君霞む)む。すかんくくん、かすむ
手塚治虫先生の描く脇役に、
「スカンク草井」
というキャラクターがいます。
この作品は、スカンク草井へのオマージュではありませんが、書いていて、スカンク草井が頭から離れませんでした。




