回文童話「一蓮托生」
「こいつ、もう生きてないんだぜ」
「しかし我らは、この者のお陰で、今日まで生き抜いて来れたんじゃないか」
「ワシは、この者を見捨てることなど出来ん!」
「わたしもだ。お前ら若いモンは、恩義という言葉を知らんのか?!」
「付き合ってらんねえ、オレは行くぜ」
「勝手にしろ、ジジイども。あばよ」
若い者たちは、出て行ってしまった。
「全く、何という恩知らずどもだ!」
残った年寄りたちは、プンプン怒っていた。
「ワシらは貴方を決して見捨てません!」
(しがらみの蚤ら餓死)
しがらみののみらがし
この物語はオリジナルです。
小松左京著「日本沈没」(第一部)に、沈みゆく日本に年寄りたちが残る描写がありますが、パパパパクリではありません。
川端康成著「掌の小説」に、死んだ女性の口から回虫が出て来る話がありますが、ぐぐぐぐーぜんです。
「掌の小説」を、「てのひらのしょうせつ」と今の今まで読んでいたことは、なななないしょです。
川端康成本人が、「たなごころのしょうせつ」と称していたそうですから、やはりそちらを尊重するべきでししししょう。
文庫版に「てのひら」とルビが打ってあるものが存在するようですが、誤字と言えましょう。
誤字報告すべきかも、知れません。
後書きの方が本篇よりも、文字数も漢字も多いように見えますが、めめめめの錯覚です。




