表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/111

回文童話「テレサさん」

テレサさんが買い物から帰って来ると、家の前で屋根を見上げ、腕を組んでいる人物がいた。


「あの、ウチの屋根が、どうかしましたか?」

と、つい、声をかけてしまうテレサさん。


「ああ、屋根瓦がズレているのが気になって」

と、その灰色の作業服の男は言った。


「えっ、そうなんですか?」と、テレサさん。


「ちょっと見るだけ見せてもらえませんか?。お金は()りませんから」


そこへ、紺のスーツの紳士が通りかかり、

「お前、何を言っているんだ!」

と、灰色の作業服の男に詰め寄った。


「な、なんなんだよ、お前は」

「屋根瓦がズレているだと? どれだ? 下から見て分かるのか?!」

「あのう、リフォームしてもらった業者さんに見てもらうというのは?」と、テレサさん。


「それがよろしい。詐欺(さぎ)ですよ、こいつ」

と、紳士が言った時には、灰色服の男はもう逃げ出していた。


「危ないところでしたね」

「ありがとうございました」深々と頭を下げるテレサさん。

「ああ、怒鳴ったら、(のど)が乾いちゃったな」

「あっ、気がつきませんで。ウチで飲み物でも」


「ありがとうございます。時に奥さん。もう使わなくなった貴金属とか、ありませんかねえ」


家に案内されながら、紳士は言うのだった。



(テレサまだ騙されて) てれさまだだまされて



家には病弱な祖父が居て、こんこん()き込んで、紳士を撃退できたのは、奇跡的かも知れなかった。



(奇跡的咳) きせきてきせき


ウチには、もう長い年月でですが、三回くらい、

「屋根瓦がズレてますよ」

と、作業服の男に言われたことがある。


そのたびに、

「この家をリフォームした業者さんに見てもらいます」

と言って断った。


実際に一度、リフォーム業者の人に見てもらった。

「異常ありません」という話だった。

「絶対に、そういう人を屋根に上げてはいけません」

と、強い調子で言われた。


ご足労をおかけしてしまいました。タダだったし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 実際、こういう詐欺師と詐欺師が手を組んでるパターンはあるだろうからテレサさんには生きづらい世の中だ‥。笑
[良い点] 実話から着想を得たお話だったのか! ちょっと勉強にもなるのが童話っぽくて良いね☺️
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ