表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/111

回文童話「大阪夏の陣異聞」

その武士は、スゲ笠に紋付羽織(もんつきはおり)(はかま)

手甲(てっこう)脚絆(きゃはん)足袋(たび)草鞋(わらじ)()き。

というごく普通の旅装束であった。

腰の刀には、きちんと柄袋も掛けてある。


松の並ぶ街道を歩いていると、武士に声をかける者があった。

「真田の一味、霧隠才蔵(きりがくれさいぞう)殿とお見受けいたす」


「むむっ、何奴(なにやつ)

足を止め、刀の柄袋を取るその武士、実は忍びの者、霧隠才蔵。


「名も無き風魔の忍び」

「これより先は行かせん」

「引き返されよ」

耳の錯覚か、声が四方八方から聞こえてきた。

やがて、目だけを出した忍び装束の者が才蔵の前に現われた。


「ふん。下忍ふぜいが。命までは取らぬ、そこを退()け」


「風魔忍法、下忍影分身!」

才蔵の目の前の忍者がそう言うと、そこここの松の陰から同じ黒装束の忍者が現われた。


笑止(しょうし)。どこが影分身か。背丈、恰幅(かっぷく)がまちまちではないか」

と、才蔵が言う間にも、茂みに化けていた忍者、岩に化けていた忍者、松の枝に化けていた忍者などが続々と現われる。


気がつけば、霧隠才蔵は二百人ばかりの下忍衆に取り囲まれていた。


「よよよよかろう、今回だけは言うことを聞いてやろう!」

才蔵はそう言うと、もと来た街道を走って引き返した。


『風魔に追い返されて、大阪夏の陣に霧隠才蔵は間に合わなかった』

というのが、諸説のひとつにあるのである。



(かなわん逃げろ下忍罠か)

かなわん、にげろ! げにんわなか?!

回文童話「のほほん」毎日更新中。

でしたが、在庫がほとんどなくなりましたので、

11月11日(土曜日)に111篇をもって、第一部完、として終了します。

案外、駄目でした。無念です。


また、書き溜めて再開(続のほほん)出来ればと思います。

ほな、111篇まで。

           あと6篇。だったと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] メタ的な話ではあるが、不届きものを追い返す時のためにこの人数が待ち伏せしていたのかと思うと才蔵の逃亡は無駄では無かった‥!
[良い点] 二百人は暴力的すぎる数w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ