回文童話「瓜泥棒」
拙者は、素浪人でごさる。
士官に就く能もなく、悪党を倒す腕もなく、今夜も畑に忍び入る次第に候。
今宵は、瓜。
真桑瓜にて、腹を満たそうと考えて御座る。
月明かりも乏く、これなれば盗み放題と思われまする。
熟睡中の真桑瓜殿を、ひとつ、またひとつと造作もなく、小刀にてツルより切り離しおれば、自ずと笑みが湧き起こる拙者で御座った。
と、ひとつ動かぬ真桑瓜殿に出会い候。
押せども引けども魚籠ともせず、
「なんという強者。さてはウリ畑の首領なるか」
と思わず驚きの声を上げる拙者で御座る。
だが驚嘆はそれだけに止まらず。
なんとそのウリは、よく見れば巨大な熊が咥えておったのだ、各各方。
どうりで動かぬはず。
話の続きは熊の胃の中にて。
然れば此れにて御免!
(真桑瓜うわ熊)
まくわうり。うわ! くま?!
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