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回文童話「ダンス・ダンス・ダンス！」
Ｄ国は、エンパルト将軍の指揮のもと、連勝に次ぐ連勝、負け知らずの快進撃を続けていた。
その秘訣は、
「ダンスにある！」と、エンパルトは思っていた。
進軍前に、趣味のダンスでひと汗かく。
すると、あーーら不思議、敵が敗走していくのだ。
「これはもう、吾輩の人徳。ダンスのチカラ！」
と、エンパルトは思い込んだ。
かくて、朝練ならぬ朝ダンス。
抜き打ち検査ならぬ抜き打ちダンス。
夜討ちならぬ夜ダンスが行われた。
「そんな馬鹿な」
と思っていた兵隊たちも、指揮をエンパルト将軍が執るようになってから、負け知らずになった。
「ダンスのチカラ！」
を信じないわけにはいかなかった。
「まあ、体がほぐれて良いかな」
「オレはダンスをするようになってから、快眠快便だよ」
「確かに食事が美味くなった気がする」
兵隊たちは口々に将軍を褒め称えた。
だが、やがて形勢が逆転する時が来た。
敵のＥ国が、Ｄ国の勝利の秘訣を解析したのである。
「エンパルト将軍、敗戦の原因が分かりました！ Ｅ国の奴ら、我が国の倍の時間をダンスに費やしていたのです！」
「ぬぬっ。明日の軍事演習は中止だ！ ダンスの時間とするっ！」
やがて両国がダンス大会で雌雄を決するようになるまで、さほど時間はかからなかった。
戦後、今に至るまで各場所で行なわれているダンス会議、ダンス選挙、ダンス祭りは、その名残りであるそうだ。
(ダンシング軍神だ)
だんしんぐぐんしんだ！
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