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第103話:救世主たちのお披露目会

「いらっしゃい!こんな朝早くに旅人とは珍しいな?料理は支度ができてないから出せないけど、部屋を貸すだけならできるぜ?」

「早朝だってのに気前のいい店主だねえ。ここには泊まりに来たんじゃんくて、人に会いに来たんだ」

「……まさか、また魔王軍云々の関係じゃねぇだろうな?最近そういう物騒なのが続いていてオレも迷惑してるんだよ」

「むしろ逆さ。その魔王軍云々のことでお礼を言いたくてわざわざここまで足を運んだのさ」

「お礼?」


 さっきから「察しろ」と言わんばかりにセトレイ王家の紋章をチラチラと見せているが全く通じていない。仕方がないので店の入り口で事情を説明する。


「ここにエリカという女性がいるだろう?先日のカロル討伐の件で本人と少し話がしたいのさ」

「誰なんだ?あんたたち?」


 王家の紋章を持った金髪の少女。

 冒険者(ぜん)とした身形(みなり)の四人組の女たち。


 これだけの情報があれば誰もがピンと来るはずなのだが、話し相手がドリード村よりも外に外出したことがない、超絶世界の狭い無骨男だったのが運が悪かった。


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『白銀の騎士』と呼ばれる所以である鎧を朝日に反射させながら騎士は名乗った。



☆★☆★☆



「この前スロザード山脈で『装備の欠片』を集めるために一緒に行動したけど、改めて自己紹介をさせてもらおうか。……そこで料理の仕込みうをしている店主に知ってもらう意味も兼ねてね」


 朝起きたら見知った顔の騎士が座っていたから驚いた。『紅蓮と白銀の騎士』と『ライザーズ』が向かい合うように座る。


「私の名前はテリーナ。セトレイ王国の現女王の姉で、『紅蓮と白銀の騎士』のギルドマスターを務めている。勉学が嫌で王城から勝手に抜け出した身でありながら妹から雑務を任されて、度々城を出入りすることもあるけど、まあ平民だと思ってくれ。改まった態度をされるのは好きじゃないからさ」


 穏やかな表情で語る。


「クリムよ。『紅蓮と白銀の騎士』の『紅蓮』の方。赤色と火属性魔法が好きなだけなのに、いつの間にか『紅蓮の魔女』なんていう二つ名が付いてた。誰が付けたんだろーね?あ、役職(クラス)魔法使い(マジシャン)DD(ダメージディーラー)ね。分かると思うけどテリーナはタンクだから」


 魔法使いの少女が素っ気ない口調で話す。

 絵理華たちが破壊した街をたった一人で直したらしいが、歳は絵理華よりも若いらしく、見た目は何処にでもいそうな年相応の少女にしか見えない。


「サラです。カロルを斃した人たちに会いに行くと言うので同行させていただきました。私たちのようにいろいろな種族・人種の人がいて賑やかなパーティですね。役職(クラス)暗殺者(アサシン)。サブディーラーをやらせてもらっています」


 黒髪ロングの髪の毛を揺らしながら、踊り子のような見た目をした褐色肌の女性が丁寧に頭を下げる。


「ルティアです。聖職者(ヒーラー)やってます。人前で話すの苦手で上手く話せないかもしれませんが、よ、よろしくお願いします」


 緊張した表情のまま頭を下げると、金色の髪の毛の隙間から尖った耳が覗く。


「さて、早速だが本題に入ろう。君たちには後日セトレイ王国で開催される式典に出て欲しいんだけど、是非参加してくれないかな?」

「王国の式典?何の??」

「私たちが集めた情報によれば、君たちは魔王軍の残党・カロルを撃退し、本当の意味での魔王軍の抹殺を完遂したそうじゃないか?まずはその事実を確かめたいのと、もしその話が本当であれば、世界を救った勇者、いや、救世主として民衆の面前に出てお披露目しようかと思ってね。世界を救ったモノたちの顔をみんなに見て覚えてもらうのさ」

「救世主……?私たちがですか…………?」

「おいおい。君たちは自分たちが思っているよりも大きなことを成し遂げたんだよ?別に大仰な言い方ではないと思うけどね。それにできれば爵位の方も上げようかと――」

「しゃっ?!爵位?!!」

「元王族だからって気軽に上げすぎだっつーの。妹に怒られちゃうぞ?」

「ははは。これは失敬。感動するとつい爵位を上げたくなってしまうのだよ」


 赤い山高帽に赤いローブで全身を赤で統一した魔法使いの少女が(たしな)める。


 実際イギリスなどでは世界的に活躍する女優・デザイナー・セレブ・実業家・科学者などに女王から爵位が授与されることがあるため、別段珍しいことではないのだが、大阪のオバチャンが飴を配る感覚で爵位を渡されても、渡された側がビクビクしてしまうのが現実だ。実際ルナティとハロイラは緊張で顔が真っ白になり、今すぐにでも昇天してしまいそうになっている。


「さて、君たちが本当のことを言っているかどうかは『ジルジの天秤』を使えばすぐに分かるのだが、聞いた話ではカロルはその『ジルジの天秤』すらも悪用したそうじゃないか。何か証拠になるような物証があれば話は早いんだけど、何か持ち帰ってないかい?」

「誰かに悪用される危険を考慮して、魔杖アルーフ=ザ=レストリクションを持ち帰りましたわ。再び悪の手に渡らぬよう厳重に保管していますので、そちらにご案内しましょうか?」


 さすがは吸血鬼の名家・ローゼンガウラ家。相手が人間の王侯貴族であろうが一切物怖じしない。

 今にも死ぬのではないかと心配になってしまうほど震えている二人を置いてアジ=ダハーカ宮殿まで移動する。


『朝から騒がしいな』

「並々ならない力を感じるね。あんたとは敵にならなくて良かったよ」

『ほう?我の力が分かるか。なかなかに優れた人間だ』


 一言二言交わして魔法の杖を受け取る。


「……うん。間違いなく魔杖アルーフ=ザ=レストリクションだね。話は本当みたいだよ?」

『小娘よ。我が闇属性の魔法で作り出した幻かも知れぬぞ?『ディスティンギッシュ=シャム』を使わなくてもいいのか?』

「あたしには【鑑定・神】があるからねー。武器・宝物・遺物・宝石とかの真贋(しんがん)なら魔法を使わなくても一発で分かりますよーだ」


 んべ、と舌を出したクリムを引き連れて『アルミラージの集会所』に戻る。


「君たちの武勲が本物だということが証明できたことだし、いよいよ準備を……、あ、そうだ。君たちに参加の是非を聞いていなかったね。君たちが主役なのに」

「どうする?」

「どうするも何もチャンスですよ絵理華さん」


 隣に座った金髪の女神が親指を突き立てる。


「ついでに動物園のことを宣伝して集客効果を狙ってしまいましょう!!世界を救った救世主様が運営している施設ともなれば、尋常ではない数の人が集まりますよ!!」


 確かに、動物園のことを周知徹底するのにこれほどの機会はない。その会話を聞いていたテリーナが割り込む。


「ドウブツエン、というのは先ほど私たちが行った場所かい?【テイム】を使ってモンスターを展示するなんて面白いじゃないか。私は気に入ったよ」

「先代のゴロド王様は【テイム】したモンスターたちが暴れるのではないかと心配していましたが、管理が行き届いているのでその心配はなさそうですね」

「ルーンを使ってモンスターの説明書きもされているよね?モンスターの生態や弱点について知るいい機会になりそうだし、あたしは好きだなー」


 口々に賞賛の声が挙げられる。


「それじゃあ式典には参加するってことでいいかい?詳細は後日連絡するからよろしく頼むよ」

「こちらこそよろしく!!式典では何をすればいいの?」

「セトレイ城のバルコニーにただ立ってもらうだけで構わないよ。君たちの姿を民衆に見せることが目的なんだからね。あ、ドウブツエンとやらの宣伝は、その式典の中で時間を設けよう。こんな機会二度とないだろうから存分に宣伝してくれよ?」



 数日後テリーナから連絡があり、指示に従いながらセトレイ城の中を進んでバルコニーに立ち、にこやかな笑顔で大歓声を迎え入れた。

 ただ普通に立っているだけというのは難しく、時間も長かったため大変だった。特に緊張していたのはやはりルナティとハロイラで、終始直立したまま終了。石のように動かない二人を押し出すような形でバルコニーを跡にし、その後『紅蓮と白銀の騎士』と行われるパーティにも参加したのだった。

「なろう」にていいねが一件増えました!いいねしてくださった方ありがとうございます!!



 そろそろこの辺りから「ノベプラ」の「ピックアップコン」の結果発表が終わった後に執筆していた範囲なので、段々文章がお座なりで自暴自棄でヤケクソで投げやりになってきているかと思います。どうか至らない部分があったら温かい目で見守ってくださるとありがたいです!!


 さて現在、終盤~エピローグの辺りを絶賛執筆中です。

「ここの展開もう少し変えた方がいいかなー」とか、「ここもうちょっと丁寧に描写した方がいいかなー」とあれこれ推敲と検討を重ねている段階なので、公開するペースが少し遅くなるかもしれません。その時はどうかご了承を!!



 ではまた!これからもよろしくお願いします!!

 正月休みと執筆作業が忙しかったため、今日は3週間ぶりくらいの「リングフィット」です。身体壊しそう……。

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