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泡となった人魚姫

作者: さくらもち

誤字脱字、思い付きで書いたので大目に見て下さい……

ああー…これで終わりなのね…

私は昼間船の上で結婚式を挙げる王太子とその姫の幸せそうな顔を思い出して、船の縁に座って夜空を見上げた。


今日は皮肉にも初めて王子と会った日を思い出して。


あの日ー

私は人魚姫だった。

父であるトリトン王が治める海の都市の娘として生まれた。


成人を迎えた人魚は地上を見ることが許されるし、トリトン王の加護があるからか人魚の都市の近くにある地上のヒトの街は異業種もいるから珍しくもない。

成人を迎えた人魚はよくその街に遊びに行っている。

え?

どうやって地上の街に行くのか?

人魚には個人差はあるかと魔力を持っている

その魔力で人魚の尾鰭を脚に替えて街を歩いてるわ。

ただ嵐の日に地上に出ればトリトン王が守ってる結界の外に攫われ人間に捕われる。

嵐の日の翌日も嗅ぎつけた人間がいるから結界が安定するまで地上に出ることはできない。

人間に捕われたら最後、不老不死の妙薬にされるのだとか。

人間は人魚が魔力によって化けても分かってしまうのだとか…


私は父の言いつけを破り嵐の日の翌日に地上に行ったの。

その時夜空に咲く花が綺麗だったのを覚えてるわ。

「あれは何かしら?」

「あれは花火って言うんだ」

「あの箱から楽しそうな声が聴こえるわ」

「ああ、あれはねーー」

地上の友達のカモメが得意げに言ってたわね

その後カモメと色んなお話しをしていた


その時だった、船から人が落ちたのを見たのは

恐らく強い波の影響を受けて大きく揺れて場所が悪かったのかそこから落ちたみたい。

私は岩陰に隠れながら様子を見ていた


おにいさまぁ!!

たすけてぇぇええ


落ちたのは小さな女の子

今にも沈みそうなのを樽にしがみついて泣きじゃくりながら叫んでいた。


そこからまた人がまた落ちた

いや、あれは自ら飛び込んでいたわ


王太子様!!?

おい早くロープを!!

ちんたらすんなーー!!!


船からそんな声が聞こえている

男は女の子のそばにかき泳いで行き慰めていた。


船から紐が降りてきて男の人は器用に女の子を抱えながら登っていった。


私はその様子を見て大丈夫そうだなと人知れず海に帰ろうとした時だった。


王太子様!!??

お前たち王太子様を早く!!

だめです!!これ以上はーーー


男は海に落ちてしまった様だった。


私は海に潜り、男の人に向かって泳いだ。

男は水を飲んでしまった様で意識が怪しい。

私は男を抱えて泳いだ。

人間は海じゃ呼吸ができないから地上の浜辺にでも置いとけば誰かが見つかるだろう


適当な浜辺に男を置き、私は男が息しているのかを確認の為手を顔に翳した。

微弱だが息してる様だけど安心もできない

癒しの力を使い男の容体を安定させることにした。

何もしないで死んだらそれこそ嫌だし…


呼吸も安定した様なので海に帰ろうとした。

その時男に腕を掴まれた。


「お前何者だ、言え。」

「言わぬのならこの場で処分する」


おかしいわね、礼を言われるならともかく命を狙われるとはね

やはり人間は信用できない。

それとも人魚とバレたのかしら

目はまだ見えてないはずなのだけども


「お礼も言えないなんてね

やっぱり助けるんじゃなかったわ」

男は驚いて手の力が抜けていた。

その隙に海に逃げた

「!!おいーー」

何か言ってたみたいだけど気にせず帰った。


あの後父に怒られた。

罰としてしばらく地上に行かなくなった。



まぁ、なんやかんやあって冒頭の結婚式に至る訳でーー

え?そのなんやかんやが大事だって?

そこから長いんだけどまぁいいや


あたしは海の魔女にずっと人間にしてもらえる薬を貰ったの

対価として声を…ではなく、血を。

魔女曰く、声は大昔父が王になる前姉妹の末から美しい声を手に入れたから充分なのだとか

人魚の血で妙薬が出来るのかを試したいんだとか


歩く度に刺すような痛みが継続する脚だそうだ。

その薬は未完成で痛みはどうしようもないのかと研究してるみたい。


この薬の注意事項は

自分の存在を明かすようなことをした時

もう一度海に帰った時


人魚ではなく、泡となって死ぬということ

完全に人間になるには男と結ばれる必要があるらしい。


私は陸に上がってから薬を飲み

その影響で倒れた。


倒れたところにたまたま男がいて城に連れてかれた。


その日々はとても楽しかった

薬が強すぎて喉が痛み声が出にくくなってしまったけど

男は王太子で仕事の合間に会いに来て色んな国の話をしてくれた。


だけど彼は婚約者がいるのに

私に構い続けていい訳なかった。


城を歩いて中庭を覗くと彼と彼の婚約者が抱きしめ合ってるのを見て邪魔者は私なんだなと痛感した。


でもそれも今日でお終い。

彼と彼の婚約者の結婚式に参列できた

あとは邪魔者は立ち去るのみ


私は今までの思い出を振り返り終わると船の縁から立った

海に帰れば泡となって死ぬ

父には悪いことをしたなぁと思いながら海に落ちようとした時だった。


後ろから手を引っ張られ船の上に逆戻り

そこには今日結婚式を挙げたばかりの彼だった

「お…っまえは!!危ないだろうが!!!」

彼はいきなり声を荒げたが私はきょとんとした

なぜここにいるの?

お嫁さんと一緒じゃないとだめでしょ?

声を荒げたと思ったら私を抱きしめた。

「頼むよ…知らぬ間に消えないでくれ…」

強く抱きしめて離してくれない

でももうすぐ夜明けだ

そろそろ人が出てきてしまう

この状況を見て困るのはお嫁さんだ

結ばれるはずもない私を選ぶなんてできないはず

だってこれは終戦の条件らしいから

私はにっこり微笑んでみせた

彼は安心したのか手の力が緩んだ


私はその隙に逃げて船の縁に立った

彼はまた手を伸ばす

「ご結婚おめでとうございます。王太子様」

私の声を聞いて彼は動きを止めた

「まさか、俺を助けてくれたの「ええ、助けたわ。礼儀知らずの方を」

私は彼の方を見ながら縁を歩いた

やっぱり脚は痛みがある

「世界は広いわ。なんでもできる、あなたは幸せになれる」

私は人魚の祝福の魔力を歌に乗せて彼の今後を祈った

彼はまだ固まっているのを見て、私はいたずらぽく笑いそしてーーーー


海に還った。


身体が泡になっていく

ああーでもこれで彼が幸せになれるのならば悪くないかな

死に行く中、私は最期に思った。



ーーー…そのはずだった


神はこんなありきたりな物語は飽きたと言うばかり人魚姫の前世を持つ私と王太子が前世の男が出会うが結ばれないループが続くとは思わなかった。


幸せになどなれない、だって本当に愛するべき人は海に還ってしまったのだから。


それは誰の言葉だったのでしょうね。


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