表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛のない世界で  作者: 望うさ
3/16

3話目

「まほう、つかい…」


ニュースで見たことがあった。


『人知を超えた生命体だ』と。


それが今、目の前に居る。


そう考えると…


(嬉しすぎて気がどうにかしそう!)


アイは、魔法使いという存在に強い執着心を抱いていた。


人知を超えた能力、力、魔術や呪術、その全て。


アイはずっとずっと追い求め続けた。


そして、人々はそんな彼女を『変わった子』だと言ったのだ。


「本当に、魔法使いなの…っ!?」


アイの表情が明るくなった。


「お、お?随分と元気になったねそうだよ、そうだとも!!ボクは魔法使いさ!!」


レンは両手をパッと広げて言った。


「わた、し…ずっと魔法使いを探してたの…!」


アイはグイッとレンに近寄った。


レンは軽く後退ると「そうなの?」と尋ねた。


「うん…!ずっと会いたかった…!


ああ、こんなことが起きるなんて…夢みたい…!」


アイは夢見心地で言うと、レンの両手を掴んだ。


「ねぇ、レン。これからもずっとずっと一緒に居てくれる?」


レンは困ったように笑い「ずっとは無理さ、お嬢さん。」と言い、手を引き抜こうとした。


だが、アイは離さなかった。


「嫌、ずっと一緒に居るって約束して」


アイはさっきよりもずっと冷静な声色で、だが、落ち着きの無く言った。


「無理だってば、ボクは魔法使いだから…だから…」


レンの声は段々と小さくなっていき、俯いた。


「まあ、ずっと一緒は無理なんだよ、アイちゃん。さ、前へ進もう。」


レンは、どこか寂しそうな笑顔を浮かべると、アイの手を引いて歩き出した。




随分長く歩いた。


だけれど、まだまだ暗い暗い水の中。


透明な地面の上。


変化という概念すらも存在しなかった。




「ねぇ、レン」


「なに?アイちゃん!」


アイが呼びかけると、レンは笑顔で尋ねた。


「レンって、すごく明るいよね。」


「言うほどかな?」


レンが笑って言うと、アイはレンの腕を引っ張って「言うほどだよ」と言った。


「ねぇ、レン」


「なに?アイちゃん」


「わたし…もしかしたら、レンのこと知って__」


言葉が止まった。


レンは笑っていた。初めに会った時と同じ笑顔で、アイの方を向いていた。


「どうしたの?お嬢さん」


「なんでも、ない…」


アイは俯いた。

レンは笑顔でこう言った。


「じゃあ、先へ進もうか。お嬢さん。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ