表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛のない世界で  作者: 望うさ
12/16

12話目

「お人形…?」


アイが呟いて近づこうとすると、レンはアイの腕を引っ張った。


「ちょっとちょっと!そんな怪しいものに簡単に近づいちゃダメでしょ!」


レンは、軽く呆れたようにアイを見て言うと、コウの「えっ」と言う声が聞こえた。


「……」


何も言わずにレンが声のした方を見ると、コウが人形の前に屈んでいた。


「〜〜っバカなのかな!?」


レンは思い切り大きな声でツッコミを入れると、コウは「ごご、ごめんなさい!」と謝っていた。


「で、でも、何も起きないよ…?」


コウは人形を持ち上げて言うと、レンは「ちょ、そういう物に簡単に触れちゃ…」と言い、慌てて止めようとした。


そう、止めようとしたのだ。


次の瞬間、コウの元へ棚が倒れてきた。


コウは「わっ…」と声を漏らすと、棚に押しつぶされた。


「……え」


アイは困惑していた。


目の前で起きた光景に、状況に。


レンは急いで棚の方へ近づこうとし、アイに手を伸ばした。


「アイちゃん!離れないで!」


アイは、後ずさりそうになるのを堪え、レンの手をとった。


棚の方へ近づくと「ぐすっ」とすすり泣く声がした。


「…?」


レンが不思議そうに棚を持ち上げようとすると、棚が一瞬にして白い花びらとなった。


「は、はぁ?」


レンが素っ頓狂な声をあげた。


「待って、何これ?こんなの…」


レンとアイは、花びらの先を見た。


そこには、人形を持って泣いているコウが居た。


「…こんなの、最上級魔法と変わらないじゃないか…」


レンはどこか焦っているような表情を浮かべながら言った。


アイは、コウの姿を見て


「本当に、コウだよね…?」と不安気な声を出した。


コウは涙目でアイを見上げると


「ほ、本物だよ…? 」と首を傾げた。


アイはレンから手を離すと、コウのことを抱きしめた。


「よかった…」


「わ、わ…?」


コウは困惑しながら、抱きしめられていた。


そんな中、レンは一人呟いていた。




「……人間に…負ける、なんて…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ