11話目
「ここ…なんだか幼稚園みたい」
アイが呟くと、レンは「へー!幼稚園ってこんな感じの場所なんだ!」と元気に言った。
アイはレンをジトッと見て
「いちいち声大きい」と辛辣に言う。
レンは「ひっどーい!」と笑うと、コウを見て「君はどう思う?」と尋ねた。
コウはビクッとしてから
「き、急に話しかけないで…びっくりするから…」と言った。
アイはキョトンとして
「コウ、お花畑の時と本当に印象違うね」と言った。
「うぅ…外は怖いから…」
コウは布をギュッと掴んで言った。
「…ここ、室内じゃないかい?」
レンがツッコミを入れると、コウは「そ、そうじゃなくて…!」と少し大きな声を出した。
「お花畑の外は、怖い…」
涙ぐんで言うコウの頭を、アイはすかさず撫でた。
「なんか…えと…」
コウは涙目のままアイを見る。
アイはキョトンとして「どうしたの?」と言った。
「子供扱いしてない?アイちゃん」
レンがコウの代わりに続きを言った。
「?してないよ、コウ扱いしてるの」
「僕扱いってなに…?」
アイがキョトンとして答えると、コウは小声でツッコミを入れていた。
アイは「ふーん…」と呟くと
「まあいいや、探索しよう」と話をそらし、進み始めた。
レンは「えぇー、話そらさないでよ〜!」と言いながら、アイについて行く。
「え、ま、待って!」
コウは急いで2人の後を追いかけていた。
幼稚園のような空間には、あらゆる遊具が置いてあった。
人形や、おままごとの道具、プラレールやフラフープ等、様々な物が綺麗にしまわれていた。
「もしかして、本当に幼稚園なの?」
アイが呟くと、レンは笑って
「ボクはここ好きだな〜!」と言った。
アイはすぐに「精神年齢低そうだもんね」と言った。
「…ねぇ、アイちゃん。本当の本当に酷くない?」
レンがジトッと見て言う。
アイは無視して「コウはどうしたの?」と尋ねた。
コウは、下を向き、少し周りをキョロキョロしていた。
「やっぱりお外怖い…」
アイは、それを聞くと、少し考えてから「レンこっち来て」と呼んだ。
「はいはーい」
レンが来ると、アイは「コウの隣行って」と言った。
レンは笑って「りょーかい!」と言い、コウの隣へ行った。
「…まだ、怖くないかも」
コウがぎこちなく笑うと、レンは「別に無理して笑わなくてもいいんじゃない?」と微笑んだ。
コウはキョトンとしてから「う、うん…」と言うと、笑顔を崩した。
カタン
小さな物音がした。
レンが振り向くと、そこには小さな人形が落ちていた。