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タラッタ子爵家顛末記

どこにでもいる子爵令嬢の政略結婚のお話

作者: れん

名字はギリシャ語から。あと、近くにコーヒーがあった。


大体14世紀ぐらいです。

一部そうでもない部分がありますが、まぁギャグだと思っていただければ幸い。

「あらあなた、綺麗な瞳ね」


 幼女はそう言って笑った。子供特有の怖いもの知らずのまっすぐな瞳で己を射抜きながら、彼女は笑った。


「炎の赤の中に、緑と金色があるの。とても綺麗だわ」


 そう言って少女は艶やかに笑う。夏の空のような青い瞳と、風に揺れる稲穂のような金色の髪の少女だった。






 とある王国の、貴族の子女や裕福な家の子供たちが通う学園の卒業式。貴族令嬢にとってはデビュタントも兼ねたその場で、とある宣言が成された。


「よって、カローナとの婚約を破棄し、新たにアリーシャと婚約する!」


 中央の壇上で大きな声で宣言する若者。彼の前には青ざめた少女と、彼の後ろには彼に守られている少女。

 そして彼らを取り巻くのは、同じ年ごろの少年少女と、その保護者や関係者だと思わしき年代の者たち。その誰もが、たった今目の前で起きた出来事に唖然としていた。


「何の茶番だ?」

「さぁ? 殿下たちの催し物でしょうか」


 すぐ隣で呟いた婚約者の呟きに、貴族の少女は小首をかしげた。




 改めまして、皆さま。私の名前はリーベ・タラッタと申します。父はこの国で子爵位を賜っております、十把一絡げのどこにでもいるような普通の貴族でございます。

 髪の色こそ金髪ですが、どちらかと言えば稲穂色とか言われている方ですわね。

 

 幸いにして我が領地は肥沃な大地と年を通して安定した気候に恵まれているため小麦の産地としてそこそこ有名ではございますが、そんなところは他にいくつもございます。ゆえに、当子爵家はどこにでもある普通の貴族の家なのです。

 

 家族構成は両親と双子の弟の四人家族で、弟の方は少し離れた場所でやはり婚約者の方とともに小首をかしげています。婚約者の令嬢はそんな弟の横顔を楽しそうに見ております。相変わらずあのお二人は可愛らしいカップルですわね。

 

 まぁどこにでもあるような貴族の、それも跡取りでもない娘となるとその存在意義は少しでもいいところにお嫁に行くことでして、私もその例にもれず十六の時に婚約者が出来ました。それがいま私の隣に立っている男性です。

 

 ちなみに年齢差は十二歳差。現在三十歳の公爵様です。子爵家の娘が公爵家に嫁ぐなんて普通はありません。大体、自分の身分の上下から結婚相手を見繕うのが普通です。わが子爵家ならば、下は男爵家、上は伯爵家ですわね。

 

 実際、弟の婚約者は伯爵家の御令嬢で、伯爵家からの申し出だったかと思います。

 そんな中、二つも飛び越えて公爵家の方の婚約者が子爵令嬢の私になったかと言えば、別に壮大なラブロマンスなんてありません。ただ単に公爵様が初婚ではないからです。

 

 要するに、私は後妻です。後妻。

 

 すでに家柄のいいところ出身の先妻との間には跡取りとして申し分ない長男がおいでで、私がたとえ男児を産んだとしても公爵家の跡取りになることはない。それを承知してくれて屋敷の奥向きの仕事や社交をそつなくこなしてくれる女であれば、良くも悪くも誰でもいい。と言う条件でピックアップされたのが私と言うわけです。


 同じぐらいの年代で探さなかったのは、年端もいかぬ小娘ならうまく丸めて躾けておけるだろうという思惑があったのだろうと思います。まぁそのあたりの事情をまるっと説明してしまうあたり、誠実なのかこちらを思い切りバカにしているのか判断に困るところではありますが。


 そうは言っても、別段ないがしろにされているわけではありません。季節の折々に手紙や細々とした贈り物は戴きましたし、誕生日には食事や観劇などに連れ出してくれたり、今日と言う日にはドレスのプレゼントを戴きましたし、こうしてエスコートをしてくれています。


 同世代同士の婚約者の思春期特有の素直になれないすったもんだを間近で見てきた身としては、年上の男性のスマートさは感心せずにはいられません。この方も十代の頃は、そうですわね、先妻の女性とそのような青春を過ごされたんでしょうか。


「どうした?」

「いえ、私にはこの先、縁がないものなのだな、と」


 いつの間にかぼんやりとしていたのでしょう。それに気がついた婚約者が首をかしげて問いかけるのに、曖昧な笑みを浮かべて言葉を返す。

 それをどう思ったのか、婚約者が眉を顰めます。


「婚約破棄が、か?」

「あぁ、いえ、それはどうでもいいのです」


 どうやら誤解されたらしい。と気が付いて私は首を振る。仮にも王家の婚約問題を「どうでもいい」とは問題発言かもしれませんが、実際公爵家の後妻になるとはいえ、子爵令嬢でしかない身ですと、王家ははるか雲の上の存在ですのでこう、実感がわかないのですよ。

 

 一応、学園ではこの国の第一王子、そう、今まさに視線の先の檀上で茶番劇を繰り広げている方が同期生ですが、だからどうしたって言う話です。おそらくあちら様は私のことなんて認識もしてないでしょう。

 

 と言うかまだ終わらないのでしょうか。私、今日と言う日のために弟とともにダンスを死ぬほど練習したんですわよ? 弟が婚約者にみっともない姿は見せられないと泣きつくものですから、そりゃもう学園のダンス講師の方に「他国の王族の前で踊ってもそん色ない」と言われるほど頑張ったんですよ?

 

 それが披露できないのはさすがに悲しすぎるんですが……終わりそうにありませんわね。


「お前の学園内での数々の悪行―――」

「あれは誰だ?」


 絶好調で殿下が叫んでいるのを眺めながら、婚約者が尋ねます。さすがに殿下やその婚約者である御令嬢を公爵であるこの人が知らない。と言うわけはないので、尋ねているのは殿下の後ろにいる少女でしょう。


「確か、男爵令嬢の、アリーシャ・カルディ嬢ですわね。カルディ男爵家は、キャメル伯爵家が寄り親だったはずです」


 たしかそこの次男が同期だったはず。と、視線だけで会場内を探すと、あぁいました。真っ青になって立ちすくんでいるのでよくわかります。その近くには彼の婚約者令嬢とご家族が憤怒の表情を浮かべています。

 

 貴族とは言ってもすべてを王家が管理しているわけではありません。多くは寄り親や寄り子と言って血縁関係や場所的なもので上位貴族が下位貴族をまとめて管理、面倒を見ている形であります。

 

 他の家ともめた時に寄り親に仲裁を依頼したり、もめた相手が上位貴族の場合は寄り親経由で何とかしてもらったりするのが普通です。

 

 税は直接国へと納めますが、寄り子が納められない分を寄り親に補填を求められることもありますので、結構うるさく口出ししてくるケースもあるそうです。寄り親と子の関係は様々で、そのようにうるさく口出してくるがフォローも手厚い場合、口出しもフォローも何もない場合、口は出すがフォローはないなど、本当にそれぞれですわね。

 

 それ以外にも就職先の斡旋や嫁ぎ先や嫁や婿の貰い手の紹介なども親にしてもらうこともありますし、逆に親から薦められることもあるので、この辺りはお互いに持ちつ持たれつというものでしょう。

 

 あまりにも親からの搾取が酷い場合などは国から指導が入るそうですが、そこまでいったケースはほとんどない。と言うところだそうです。我が子爵家は寄り親との関係は良好かつ正常なものですわ。

 まぁ、公爵家の後妻の話も寄り親から打診と言う名のほぼ命令でしたが。


「あの様子では何も知らなかったのでは?」


 囁くように言うと、婚約者が頷きます。殿下の話の趣旨は要するに彼の婚約者である御令嬢が、殿下の後ろにいる男爵令嬢へと暴言や暴行をしたという話で、それを咎めているようです。

 

 ですが先ほども説明した通り、普通はそう言った場合はまずは自身の両親、そこから寄り親、そこでもダメならさらに親の親へと話が持ち込まれます。まぁ大抵はどこかで「お前が我慢しろ」と言われて終わるんですが、普通はそうする物なんです。それが貴族のメンツってものなんです。

 

 王族からしてもそんな下々の些細ないさかいをいちいち王家にまで持ち込まれても困るだけですので、基本的には王家は下位貴族の諍いに直接口を出すことはないのです。お互いがお互いの領分を侵さない。それがこの国の秩序です。

 

 ところが現在、男爵令嬢の問題に王族である殿下が口を出されています。これはかの家の矜持を踏みにじる行いであり、越権行為でもあります。

 

 そりゃ、憤怒の表情も浮かべるというものでしょう。そしてそれはキャメル伯爵だけではなくその親の…………キャメル伯爵家の寄り親って、今まさに殿下に責められている御令嬢の家だったはず。

 

 私がそれを呟くと、婚約者が深い深いため息をつきました。私の声が聞こえていたらしい周囲へもそのため息は伝わります。

 殿下、二重の意味でやらかしています。いえ、まぁ、だからこそ「茶番劇」なんでしょうが。それでもどうしましょうか。


「それでは皆様、卒業式に花を添える素晴らしい公演を演じてくださった殿下とその婚約者に盛大な拍手を!!」


 そうこうしているうちに、学園長が強引にまとめましたわ。パラパラとおざなりの拍手が上がる。まぁ、見世物としても一流とはいいがたいものでしたものね。


 思わずこの前見た劇の方がよかった。と呟いた私に、婚約者が今度新しい劇に連れて行ってくれると約束してくださいました。

 そうこうしているうちに殿下たちは退場され、改めて式が始まります。


「失礼、アーゴン公爵とその婚約者様」


 そこに静かに声がかけられます。なんだろうと視線だけ向けると、とてもお世話になったダンス講師が立っておりました。


 自身の名前と立場を名乗る講師に婚約者は怪訝そうな顔を変えませんので、こっそりと「お世話になった方です」と付け加えると、少しだけ婚約者の纏う気配が和らぎました。

 婚約者、顔が強面な上、凄まじい覇気をお持ちなので下手すると気配だけで気を失いかねませんからね。


「なんだ?」

「突然申し訳ありません、実はファーストダンスをお願いしたいのです」


 ……は? 突然のことに私は思わず硬直しました。


 ファーストダンスと言うのはそのまま最初に踊るダンスのことです。ほとんどの場合は主催者が踊りますが、高位の方を招いた場などではその方が踊る場合があります。

 

 今回の場合は学園主催と言うことになりますが、主役は卒業生です。なので卒業生の中で一番高位のものが踊るのが普通です。今回は王族である殿下がおいででしたので殿下とその婚約者の予定でした。

 あと、そこそこ高位のおうちの方が周囲で一緒に踊るんでしたわね。


 ですが、その殿下と婚約者が退場。その下は伯爵家となるはずなんですが、ここで問題なのが私の婚約者です。そう、公爵です。今この場で一番身分が上の卒業生の関係者です。

 と言うよりも伯爵家の場合は候補が複数あるため、誰を選ぶかでいろいろと角が立ったり立たなかったりするので、事前調整なしで選びたくないというのもわかります。

 

 そのあたりの事情は分かります。わかりますが、私、子爵家令嬢!!!

 

 公爵家の後妻に入ってひっそりと早めの隠居生活に突入する予定の目立たず騒がず、いてもいなくてもいいような存在になるはずなのに、いきなり大勢の前でファーストダンスを踊れとか、無茶ぶりすぎます。

 絶対、あれ誰? って顔で見られるんだ。


「大丈夫ですよ、タラッタ嬢のダンスの素晴らしさは私が太鼓判を押します」

「ほう、それは楽しみだな」


 あぁぁぁ、余計なことを。婚約者もなんだか乗り気です。いえ、私が断れることではないのですが。だって今話している学園長からも必死な視線が向けられている。もしかして私たちが了承するまで話を延ばしてらっしゃる?


「どうする?」

「……若輩者ですが、お引き受けします」


 断れませんよね、知ってる! こうなったら一生に一度の晴れ舞台と思って頑張ろう。

 ダンス講師の方がどこかへと合図を送ると、ほっとしたような表情で学園長の話が終わり、ダンスタイムに移行する。婚約者に腕を引かれて中央へ。それに続いて数組の男女。そこには弟とその婚約者の姿もあった。

 

 そうだったわ。伯爵令嬢である婚約者が、殿下の周囲でファーストダンスを踊ることになるから、その相手役の弟が必死に練習してたんだったわ。

 気づかわしげな表情でこちらを窺う弟カップルに何とか笑みを返して、婚約者と最初のポーズをとる。音楽が聞こえてくれば、あとは踊るだけだ。


「ほう、言うだけのことはあるな」

「ありがとうございます」


 褒められたことに短く礼を言う。弟の特訓に付き合っただけだが、私にも恩恵があったようでよかった。できればもうちょっとひっそりと披露したかったのですが、仕方ありませんわ。

 

 無事に最初の一曲を踊り切り盛大な拍手を受ける。この先、これほどの拍手を向けられることはないだろう。そう思いながらカーテシーを行い、さらに続けて二曲。

 それから弟と一曲。


「無事に終わってよかった」

「ほんとそれ、どうなることかと思ったわ」


 身内の気軽さと、踊り慣れた相手の気楽さで、そんな軽口をたたきながら踊る。予定では弟のダンスを辛口採点してやろうと思っていたのに、見ている余裕なんてなかったわ。

 一曲踊ってそれぞれの婚約者の元へ。幸いにして、なぜか隣り合っていたので戻る場所は同じだ。


「リーベ」


 差し出されるフルートグラスを受け取った。さすがにのどが渇いたので、冷たい微炭酸の飲み物が染みわたる。


「見事なものだったな。随分となれている」

「えぇ、弟がファーストダンスの周りで踊る予定でしたので、特訓に付き合っていました」


 どこか咎めるような口調で言われ、私は答えた。お互いダンスは苦手ではないし、そこそこの水準にあったと自負しているが、「婚約者に恥をかかせられない」と強迫観念に駆られた弟の猪突猛進ぶりはすさまじいものでした。

 

 おかげで、王族の代わりのファーストダンスと言う無茶ぶりにも何とか対応できましたので、人生何が幸いになるかわかりませんね。

 

 私の言葉に、婚約者は「あぁなるほど」と頷いたようです。弟たちはまた踊りに行ったようです。弟は体力がありますね。私も踊るのは好きですが、体力がもう限界。

 あとは婚約者があちこちから声をかけられる横で無難な対応をしながら私は弟の体力を少しだけうらやましく思っていました。


「明日、迎えに行こう」

「お待ちしております」


 学園の前に止められた公爵家の馬車でタウンハウスの前まで送られる。ちなみに我が家のものではありません。これも寄り親の持ち物ですわ。本日の卒業式に合わせて、数組の子爵や男爵家の家族がここでお世話になっております。

 

 学園の寮の荷物はすでに公爵家のタウンハウスに運ぶように手配が終わっておりますので、私は今晩家族と食事をして、明日には公爵家へと嫁ぐというわけです。

 弟の方も、義妹となる少女が明日の朝こちらに来て、両親と弟共に領地へ向かう予定ですわね。

 

 馬車から降りるさいに差し出された手を取ると、私の手の甲に婚約者が口づける。こう言うところは本当にスマートですわ。同じように婚約者を送ってから戻ってくる弟はちゃんとできたのでしょうか。

 

 少しばかり心配になりながらも私は屋敷に入りました。両親は先に戻ってきていたようで、ファーストダンスのことをお褒め戴きました。あと事情を知らない方にどうして私が踊ることになったのかを尋ねられながら、弟と待ちながらまったりとお茶を楽しみます。

 ようやく座れたので正直眠くなってきましたわ。


「キャメル伯爵家とノモス公爵家が怒り心頭だったぞ」

「それは、まぁ、ノモス公爵にとっては王家と寄り子両方にコケにされたようなものだ。当然だろう」


 大人たちがそんな会話をする。あぁいけませんわ、今日から私も大人の一員でしたわ。それにしても、どうするのでしょうかねぇ。学園長が言ったとおりに劇で押し通すのでしょうか。まぁ間違いなく茶番劇でしたが。

 

 間違いなくカルディ男爵家は御取り潰しでしょう。そうでもしないとキャメル伯爵家の面目が立ちませんもの。貴族の除籍は王家の許可が必要ですが、明らかな越権行為があった以上は王家も拒否もできないでしょうね。

 

 その夜、家族との最後の夕食をいただき、静かに夜が更けました。翌日は何かとあわただしい中――何しろ王都は滞在するだけで何かとお金がかかるので、用事がすんだら下位貴族はとっとと領地に戻ります――表に豪奢な馬車が止まる。

 

 中から出てきたのは、これまた正装の公爵本人。昨日の盛装も見事なものでしたが、正装はまた……独自の迫力がありますわね。公爵は口が裂けても美男子と言うわけではないのですが、不思議と人目を引く雰囲気と魅力がある方です。


「それではお父様、お母様、お世話になりました」

「幸せにね、リーベ」

「いやになったら戻ってきていいからな」


 両親とそれぞれ抱き合い、弟には一つお互いに頷くと、私は馬車へ入る。最後に婚約者が両親たちと何かを話した後、乗り込んできた。

 

これから婚約者の屋敷で使用人との顔合わせと、婚礼準備。まぁ私は後妻なのと子爵令嬢なのでシンプルなものでしょう。そして初夜もありますわね。

 これからが忙しいのですわ――。







 そうして公爵家に嫁入りして、早二十数年が経ちました。

 もちろん、卒業パーティーの時以上に注目を浴びるようなことは、全くない。実につつましやかな二十年でしたわ。


 どこにでもいる子爵令嬢であった私が公爵夫人をどうにかこうにか今日までやってこれたのは、優秀な旦那様と長男。そして使用人たちのおかげですわね。

 何しろ子爵家と公爵家では家の規模が違いますからねぇ。


 それを下手に自分家ルールを振りかざさないだけ教育のし甲斐がある。と言ってビシバシ鍛えてくれた家令にはいまだに頭が上がりませんわ。

 …………よほど、先妻の方がいろいろやらかしたんでしょうね。えぇ。まぁ、最初の奥方は本当に高貴な身の上でしたので仕方がない部分はあるんですが。


 そして私は七人の子持ちです。いえ、言いたいことはわかります。多くないか? でしょう。わかります。私もそう思います。

 ですが少しばかり言い訳と言うか、説明をさせてください。


 まず、最初の子を授かったのは、私が嫁入りした年のことです。あまりにも早い妊娠に、結婚前の関係を疑われましたが、どう計算しても結婚してからしこんだ、オホホ、間違いなく旦那様の子です。


 それでもあまり友好的ではない長男や屋敷の使用人たちにはあれこれ言われましたが、できたものは仕方がありません。ちなみに口さがない使用人は旦那様が対応してくださいましたし、長男も鉄拳制裁が入りました。


 最初の子は女の子でした。髪の色も目の色も私そっくりで、旦那様の遺伝子はどこに? と言う感じです。おかげで微妙に不義疑惑が解けなかったのが解せない。長男には分裂したのでは? などと言われる始末。


 そんな長女は成長すると本当に私そっくりで、長男はいまだに分裂したのではないかと疑っているそうです。学園をトップの成績で卒業し、今では公爵位を受け継いでバリバリ働いているはずなのに、どうしてそういう所だけは可愛らしいところが残っているようで。


 その長女ですが、学園にいる間に冒険者になると言い出し、卒業後は本当に飛び出してしまいました。しばらくして「恋人が出来ました」と言う手紙が来て旦那様と長男が挙動不審になったのは面白かったですわ。


 娘の恋人はどことなく旦那様に雰囲気が似ている青年で、珍しく旦那様が複雑そうな顔をしておりましたね。そんな娘のところもこの前四人目が生まれたとかで、なかなかにぎやかにやっているようです。……別にタラッタは多産の家系ではなかったと思うのですが。


 次の子は長女の翌年に生まれました。今度は男の子でしたね。今回もあまり旦那様の特徴は受け継がず、長男の分裂疑惑がますます深まったようです。


 次男となる子は在学中に選りにも選って当家と同じ公爵家の御令嬢に一目ぼれしてしまいまして、幸いにして令嬢の婚約者はまだ選定中だったのですが、あまりアーゴン公爵家と、と言うか、旦那様と現当主の仲がよろしくないおうちでして。

 何の罠かと警戒されていたのです。ただ次男としては若気の至りと言うか、若さゆえの青さと言いますか、本当にただの一目惚れでして。


 すったもんだの後に婿入りしていきましたわ。こちらも娘息子娘で三人兄弟だったはず。

 息子そっくりの子供たちで、あちらの公爵様に「そちらの奥方の家系は分裂するのか?」と大真面目に聞かれた時の旦那様のあの何と言っていいかわからない複雑なお顔。

 横にいた私も後ろに控えていた使用人もみな笑いをこらえるのに苦労しましたわ。


 お産みになったのは間違いなくあなたのお嬢様でしてよ。

 成長してからはあちらのお嬢さん、いえ、現在の公爵夫人にも似てきましたので他人事とは言え、少し安心しました。


 三番目と四番目は双子で、この子たちを妊娠中に性質の悪い風邪にかかりまして、母子ともに危険な状態に陥り、旦那様と長男をかなり心配させたようです。

 幸いにして、後遺症のようなものはなく、生まれた子も多少小柄ではありますが元気に育ちました。あぁ、このころには長男の態度はすっかり軟化していて、むしろ旦那様の方に呆れていたようでしたわね。


 今は三男は船乗りになると言って屋敷を飛び出し、四男は研究者になると言って隣の国の研究所に入ってしまいました。なお、こちらも旦那様の特徴はほぼありませんでした。


 思わず閨の中で、旦那様の遺伝子頑張って! と、思わず旦那様の旦那様に声をかけてしまったのは仕方がないかと思います。とても微妙そうな顔をされましたが、声掛けが幸いしたのか、五人目は旦那様によく似た美人の女の子でした。


 いえ、私はどちらかと言うと目鼻立ちがパッとしない凡庸な顔立ちですので、生まれた時からすっきりとした鼻梁に、涼やかな目元の次女に思わずガッツポーズをしてしまいました。


 父親に似ると女の子は美人になると言いますしね。


 年頃になった次女に金髪がよかった。と、泣かれましたが、旦那様譲りの赤い髪も赤い瞳もお母さま大好きよ。と慰めると「我慢する」と言ってくれました。いえ我慢ではなく自慢してほしいのですが、とりあえずその夜は旦那様を慰めました。


 次女の時はなかなか床上げが出来ず、医師からも「そろそろ身体が心配だ」とのことで、避妊をするようになりました。まぁ、うっかり忘れてしまったせいで今六人目がお腹にいるわけですが。


 いえ、二人ともいい年なので、もう大丈夫だろう。と思ったのですが、甘かったですわ。


「母上、またこんなところにいるのですか!」

「まぁ、大げさね」

「大げさにもなります。身体が冷えてるではないですか!!」


 そう言って肩に上着をかけてくれる長男。本当に、なんであなたにお嫁さんが来なかったのかしらねぇ。

 すでに私と旦那様が結婚した時の旦那様と同じころの年になっても独り身の長男に、思わずため息をつく。縁談がなかったわけではないのに、あれこれ難癖をつけて断ってを繰り返しているうちに、めぼしいおうちのお嬢さんは皆売却済みになってしまいました。

 そう言って首をかしげる私に、長男はため息をついて首を振る。


「いいですよ、もう。私は女が苦手なんです」


 長男はそう言って諦めたように笑う。そこには、女性に対する、というよりは実母に対する消化しきれない複雑な思いがあるようです。


 長男の実母、つまり先妻は同盟国の王女で旦那様とは完全に政略結婚だったそうです。銀髪に赤い瞳の、線の細いお人形のような女性だったそうです。政略結婚なので、お互い結婚するまで手紙のやり取りだけだったそうで、実際にあったのは結婚式当日だとか。


 まぁそれは王族や高位貴族ではよくある話といいますか、絵姿を送ったりすることもあるそうですが、絵師が下駄をはかせたり美化したりすることもあるそうで、実際会ってみたらがっかりする。なんてこともよくあることだそうです。


 私が公爵家の後妻になる話を持ち込まれた時に見せられた肖像画は、そんなことはありませんでしたが。えぇ、実物の方が二割増しぐらい迫力があった程度ですわ。あれでも抑えられた方なのか、それとも絵師が旦那様の持つ覇気を描き切れなかったのか、評価が分かれるところですわね。


 そんな肖像画の悲劇はさておき、王女は旦那様が全く好みではなかったようで、それでも王族として育てられた身。自身の婚姻の重みを理解していた彼女は、だからこそ旦那様との間に長男が無事に生まれると、義務は果たしたとばかりに母国から連れてきた愛人とともに別荘に引っ込んでしまったそうで。そしてそこで水難事故に見舞われ、愛人もろとも儚くなってしまった。


 それが先妻の顛末。私が後妻に入る前に起きた事件です。


 もちろん、同盟国の王女を娶っておきながら事故で亡くしましたと言うだけで済む話ではありませんもので、この国はもちろん、同盟国からも調査団が入りましたが、どう調べても愛人と王女が湖の上で乳繰り合っているうちにボートがひっくり返って二人とも溺死。という事実以上は出てきませんで、同盟国の調査団は恥だけかいて帰っていったそうです。


 まぁ私も自国の王族がそんな死に方したら嫌ですわ。それでしばらくは旦那様ものらりくらりと独り身でいたようなのですが、周囲からの再婚しろと言う圧力に負け……と言うよりもうっとうしくなったようで、どこかに若くて体力があって世間知らずそうな女はいないかということで、白羽の矢が立ったのが私。というわけです。


 長男が最初、嫁いできた私に非友好的だったのは、王女が連れてきた愛人がよりにもよって赤毛に緑の瞳だったそうで、長男は赤毛に赤い瞳ですが、瞳の色には少し緑の光彩が見えます。これは実は旦那様も同じで、旦那様はさらに金の光彩が入っています。


 先ほど、娘息子たちは旦那様の遺伝子が見つからないと言っていましたが、瞳にちゃんと、旦那様と同じ緑や金の光彩が見えるんですよ。ですがそれは旦那様の瞳をかなり近くで見ないとわからないものでして。えぇ、ただでさえ強面の旦那様の瞳をのぞき込んで確認する猛者がいなかったのが、長男の悲劇の原因とも言えます。


 私は初夜の時に間近でばっちり見ましたから間違いありませんわ。……まぁそれ以前から知っていましたけれどね。


 もしかしたら自分は旦那様の子ではなく、正妻の愛人の子ではないか。実際、そんなことをいう使用人もいました。幼かった長男がどれほど不安であったかは私にはわかりません。


 そこに、ポッと出の私が後妻に来たわけですから、私と旦那様の間に子が生まれたら、自分は追い出されるかもしれない。そんな不安がヤマアラシのような態度になっていたというわけです。


 今では体も大きくなって、体格の良さや眉のあたりが旦那様そっくりなので完全に笑い話ですけれどね。それでも当時のことは長男にとっては拭いがたいものらしく、結婚というものに消極的になってしまったのでしょう。


「ジュラの子か、何なら今母上の腹にいる子が男なら、その子を跡取りにしますよ」


 今ではすっかり開き直ってそんなことを言う始末。

 私の子は公爵家の跡取りにはならない。と言う話だったのに。人生何が起きるかわからないものね。


「それを言ったら六人も子を産む方がありえませんよ」


 生まれちゃうのだから仕方がないじゃない。


 王家も他の高位貴族も、血の濃さが原因で跡取りが生まれにくい、生まれても体が弱いなどの問題を抱えておられていますからね。

 その点、私はどこにでもいるただの子爵家の出身ですから。血の濃さなんてどこふく風でしたのよ。

 さらに、お医者様にはよっぽど相性がいいんだろうと言われたわ。


「まぁ、悪いわけはないでしょう。そもそも父上は今いくつだと思ってるんですか。同じ男としてうらやましいぐらいですよ」


 かつて九十六歳でお子を授かった皇帝もいるそうですから、旦那様はまだまだお若いわよ。


「その時の妾は十代だったそうじゃないですか、母上はもう四十ですよ!」


 まぁ、まぁ、まぁ! 淑女の年齢を声高に叫ぶものじゃなりませんわ! ……とは言え、そうなのよねぇ。さすがにちょっと心配だわ。


「でしたらどうぞご自愛ください。シアの嫁入り先のことで相談がありますよ」


 あの子、好きな人がいるんじゃないの? いえ、本人からはまだ聞いていませんけれど、なんといえばいいのでしょうか。そう、母親の勘のようなものですわ。


「平民出身の騎士見習いだそうですよ。さすがに公爵家から嫁に出せる相手じゃありません」


 うーんでも、無理じゃないかしら。長女のこともあるし。タラッタの女はこれと決めた相手に一直線よ? 一途に、愚直に、その人のためだけに生きるのよ?


 男はしっかり捕まえておかないと、糸の切れた風船みたいになるけど。お母様もお父様には苦労されていたようだし、義妹も苦労しているみたいだわ。放蕩癖があるとか、浮気するタイプではなく、こう、いつまでも棒切れ拾って振り回しているタイプなのよねぇ。うちの男どもって。


「ったく、イルドはともかくゼノとチノは、もー、帰ってすら来ない!!」


 本当にねぇ。同じ公爵家に婿入りした次男はともかく、三男と四男は全く帰ってこないわねぇ。

 まぁ、あの子たちはねぇ。便りのないのは元気な証拠ってやつよ。


 そもそもタラッタ子爵家の始まりが、あのあたり一帯がまだ荒れ地だった頃に「ここを俺たちの領土とする。そして誰もが腹一杯食える場所にする」とか言い出した無謀ものたちが大騒ぎして本当に穀倉地帯にしてしまったから、あわてて国が爵位を与えたという話なので、夢追い人と言えばそれまでですが、無駄に人好きするので周囲を巻き込んで話を大きくするタイプなんです。


 今でも農耕期は領民に交じって鍬振ったり、鎌振ったりしているぐらいですからねぇ。

 私脱穀上手いんですよ。って旦那様に言ったら大爆笑されましたわ。もうずいぶんと幼い頃なので、覚えていらっしゃるかはわかりませんけれど。


 そしてタラッタの女は、そんな夢追い人を「やれやれ仕方ないわね」と言いながら後始末や根回しをすることにやりがいを感じるタイプなんです。

 笑いながらも、一緒にやってくれた年上の少年の瞳に惹かれて、気が付けば公爵家夫人ですから、本当に人生よくわかりませんわ。


「えぇ、えぇ、そうでしょうね。ジュラの旦那は伯爵家次男だったのが気が付いたら男爵家として家を興してますし、うちも母上が来てからあれこれうまく回っていますよ!」


 まぁまぁ、買い被りですよ。私がしたことはそうたいしたことではありませんよ。どこのおうちでも奥方がやっていることですわ。

 そもそももともと公爵家には力がありましたし、旦那様は一人でも何でもできましたから。私が頑張ったのは旦那様のご機嫌取りぐらいですわ。


「そもそも父のご機嫌を取るのが大変なんですが。まぁその結果が六人か……」


 んっふふふ、げんなりした顔をしないでくださいな。旦那様そっくりの綺麗な瞳でじっとりと見つめられて、私はコロコロと笑う。


「あぁそうでしょうねぇ。ともかく母上やジュラがポコポコ産むもんですから、跡取り問題が深刻な高位貴族から熱烈なラブレターがいっぱいですよ」


 血の濃さが原因なのだから、うちに求めないで他の子爵家でもいいと思うのだけれども。そう思いきれないのが高位貴族なんですわね。

 それに実績があるところの方がいい。と言うことかしら。


 次男の方も今四人目を妊娠中だそうだし、近年では珍しい人数よねぇ。三男のところももう生まれているし、四男は、どうだったかしら。


「ゼノのところは男の跡継ぎが生まれず娘が継いだので、その娘が男児を産んだということで領を挙げてのお祭り騒ぎだそうですよ。

 チノは奥方が隣国の第三王女だって知ったときはオレは卒倒しましたよ?!」


 三男のお嫁さんは大きな漁港を持つ領主のお嬢様で、女は船に乗ると不吉だという迷信を蹴り飛ばして自ら船を出す女傑だそうですわ。

 婿取りの挨拶を貰った時に、あの子ったら公爵家だって言ってなかったみたいで、あちらの御両親ともども真っ青になっていましたが、威勢のいい、気持ちのいいお嬢さんでしたわ。


 あの子のおかげで我が家の食卓に魚が並ぶようになったんだったわね。


 四男の方は、お隣の国も王家や上位貴族は血の濃さゆえの子供が生まれにくい問題が起きているようで、降嫁した第三王女の子を王家に迎えるかどうかとか言う話があるとか。ただそうするには、チノの実家が他国の公爵家と言う高位貴族なのがいろいろネックだそうで。


「男が生まれても女が生まれてもチノのところは面倒ごとの予感が!!」


 長男が頭を抱える。

 あらあらまぁまぁ、それは仕方がないわね。今からそんなことを考えても仕方ありませんよ。なるようにしかなりませんから。


「それもそうなんですがね。

 はぁ、シアには王家からも縁談が来ていたんですが、もうこれ以上うちの家系図がややこしいことになるのは勘弁してほしいです」


 あぁ、そう言えば弟のところに末っ子を養子にしたいって言う話がどこかの公爵家からあったとか聞きましたわね。


 今の王家は、私の代の卒業式で茶番劇をしていた殿下ではなく、その弟殿下が王位を継いだのでしたわね。婚約者の御令嬢はそのままスライドで王妃になられています。


 第一王子殿下は卒業後に不幸にも病をえて生殖能力がなくなったとかで、王位継承権を失い、数年後に病死なされました。

 子を先に失ったショックで心が弱られた前陛下が退位成される方針をその年のうちに発表され、第二王子が王位を継いだのですわ。


 しばらく貴族は上も下もごたごたして、当公爵家にも余波があって大変でしたわ。私だって好きで殿下と同期だったわけじゃないですのに。なぜかやたらと王妃様には対抗意識を持たれていて、私が男の子を三人産んだから、王妃様も産むとか、もう、本当に意味が解りませんわ。

 まぁ、実際産んでしまわれたので、その執念はすさまじいものですわね。できればお腹の子は女の子がいいですわ。


「そっちに目を付けたか」


 子爵家の子を養子にするならタラッタでなくてもいいでしょうにね。


「それだけ、どこの家も後継者問題が深刻なんですよ。少しでも高い可能性に賭けたいとすがるほどにね。

 うちくらいですよ。のほほーんと、しているのは!」


 だって長男が優秀なんですもの。これで本当に、お嫁さんが来てくれればよかったのに。


「っ!! ……はぁ」


 私がそう言うと、長男は言葉に詰まったような顔をして、深い深いため息をついた。






 さて、アーゴン公爵家に生まれた末娘は、のちに王家の第二王子へと嫁ぐこととなる。優秀な兄と弟に挟まれ、影が薄いと言われていた第二王子であったが、アーゴン公爵家の末娘との仲は良好であり、のちにはおしどり国王夫妻として広く国民に知れ渡るようになる。

 そう、なぜか優秀なはずの兄も弟も気が付けば失脚しており、影が薄いはずの第二王子が王位についていたのだ。王妃となった末の娘は実家の公爵家、そして自身の家族の力を借りながら、王となった夫をよく支えた。

 稲穂色の髪を持つ、夏の空の瞳の王妃は、たくさんの子や孫に囲まれ、夫の傍らでいつも「あらあらまぁまぁ」と微笑んでいたという。

 この国の長い歴史の中で、華やかで賑やかであった一つの時代の話である。

なお、別に末の娘が謀略において上と下を失脚させたわけではありません。勝手につぶし合って残ったのが次男しかいなかったって言うだけです。

次男も「まじかよ」って呆れたほどですよ。

いうなればタラッタの女は究極のラッキーガールのようなものです。品のない言い方をするとあげ〇んというやつですな。

大事にすれば、旦那が出世するし、大事にされればますます尽くすので、ますますうまくいく。そんな感じの女性。もちろんそれで道を踏み外す男もいるかもしれないけれど、不思議とそうなるような男をタラッタの女は選ばない。


書ききれなかった裏設定としては、公爵と主人公の出会いは17と5歳のころ。

公爵の結婚直前の旅で子爵領に遊びに来た時が出会い。

もちろんお互い忘れてはいますが、候補の中から公爵が選ぶ程度には何となく記憶に残っていた。

主人公が気が付いたのは初夜の閨の中です。こちらも選ばれたことに対して「まぁいいか」と思う程度には記憶には残ってたので「あ、あー」みたいな。でも別に本人に確認してはいない。


主人公は化粧映えするタイプの美人。すっぴんは割と地味。笑顔が可愛いタイプ。


長男の初恋は主人公。

母親のトラウマとか乗り越えたあと、年上(8歳差)のお姉さんにドキドキしたけど、残念、父親の嫁さんだ。


王女の死因はガチの事故。調査団は相手国や公爵家の人に同情されて恥かしいやらな情けないやらで這う這うの体で国に帰りました。


王妃が主人公を目の敵にしているのは、自分と同じ政略結婚なのにのうのうと幸せそうなので腹立たしい。なお最初は自分の代わりのファーストダンスを踊って称賛を浴びたからとかその程度の理由。


公爵は威圧感がある強面。何もしなくても相手が勝手に委縮して謝るレベル。子供は泣く。

ただ中身まで恐ろしい人物でもなく、若いお嫁さんは大事にしています。

奥さんがまめまめしく動いて自分と相手の間を取り持ってくれるのでだいぶ仕事がしやすくなり、ますます嫁さんを大事にする。それくらい。


公爵家は長女の子が長男の養子に入って継ぎました。母親に、そしてその母親(主人公)そっくりで長男はねこっ可愛がりに可愛がった。

そのあまりの溺愛ぶりについに男に走ったと誤解されていたが、本人は知る由もない。


次女は恋愛に関してだいぶポンコツでしたが、なんだかんだ上手く行きました。

次女の旦那は第二王子の護衛の一人に抜擢されたのち、(最終的に第二王子が王になったので)王の親衛隊長になりました。

そして妹がその王妃と言う割と意味が分からない状況。

もちろん夫婦そろって「???」と首をかしげていますが、縁故ではなくまじめに仕事していたらそうなっただけです。

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― 新着の感想 ―
[一言] タラッタ子爵家シリーズは、どの回も面白いですね。
[気になる点] 「第二王子」がややこしいけど、末娘が結婚したのは元第二王子である現国王の次男です……よね?
[一言] めっちゃオモシロかったです。 堪能しました。ありがとうございます! 長女 ジュラ 次男 イルド 三男 ゼノ 四男 チノ 二女 シア …… で間違いないですよね? 長男と三女(末娘)の…
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