東方物天秤 第2章 3話 父のカード
一週間当てずっぽうで掘り探してみたら、なんと見つかった。まあ、何に使うかよくわからない物だったけど。
…そういや、自分に似た人の話を更によく聞くようになった。拠点をちょっとずつ人里に近づけているのだろうか?結構気になってきた。
ちなみに、今日は父の残したカードを調べてみたいと思う。
後、念のため「試練」はしていいのか聞いてみたが、別にダメでは無いようだ。ただ、悪事を働いたら退治するとのこと。絶対にしないだろうけど頭には入れておこうと思う。
・・・・・
その1 1878/7/16
私には、妖の血が流れている。
勿論、能力は持っているが、私の能力は「学習」する能力である。この能力は見た物の事を任意で解析し、覚える。そして応用する。
運が良ければこの能力はいつかせがれを授かった時に遺伝するだろう。ただ、父の能力も私には少し備わっている。その為、せがれがどちらの能力を獲得するかは分からない。どちらの能力も獲得するかもしれないし、別の能力が発現するかもしれない。
商益「自分にはその学習能力も備わっているっぽいが、運が良かったんだな」
その2 1921/12/13
私は、物売り以外にも研究などをしているが、父の残した封印を解析してこのカードを作ることに成功した。このカードの仕組みは、早い話が情報をカードに学習させ封印しているものだ。
後、勿論カードにした方が効率が良いから、片っ端から家にある本をカードにしていく。そのカードはテントに隠そうと思う。
商益「…!後でテントを確認してみるか。それにしても、祖父のカードの言葉に違和感があったのはそれが理由だったからか」
その3 1938/2/28~1963/9/24
長年の研究の末、並行世界の存在を確認。そして、並行世界への移動手段を確保した。数日後には父の旧友にも出会えた。ただ、並行世界への移動は普通の人には手に余るものであるため、核となる部分以外はいつか破壊するつもりだ。ちなみに、核と設計図さえあれば、理論上普通に手に入る物でも製作可能である。
核と設計図はテントに隠した。(ついでにテント内空間を拡張。その為、テント内は広く感じるだろう)
商益「並行世界は実在したか…! テント内が見た目に反し広かったのは空間を操作したからだったのか」
その4 1926/3/10
父の遺物を探ってみたら謎のエネルギー結晶と同エネルギーを貯める器を見つけた。結晶は恐らくエネルギーの祖を固めたものである。そして、器はエネルギーを固体にせず貯めることが出来、繰り返し使用可能である。
もしかしたら、何かの材料に使えるかもしれない。
後、これから先何か見つけたらテントに隠したいと思う。
商益「この記述から察するに、
結晶→エネルギーの塊(固形) エネルギー(器入り)→電池のようなもの
という事なんだろうな」
その5 1965/7/16
色抜けしたカードを見つけた。灰色のカードとも違い、そもそも大きさも違う。調べてみたら、何かをカードに充填すれば使えるらしい。嬉しいことに小型化は出来そうだ。
商益「その何かは書かれていないな…
…わからなかったのか。だったら総当たりしたら大丈夫だな」
その6 1982/8/16
私の能力には欠点が一つあったことが判明した。父も恐らく同じだ。それは、マイナスエネルギーによる狂暴化…詰まる話がストレスによる暴走だ。
理論を言うと、何かを持つ(扱う)時、その持ったものには少なからずマイナスエネルギーが付着している。次にそのマイナスエネルギーは自分自身に残留する。そしてマイナスエネルギーは溜まっていき、遂には耐え切れず暴走してしまう。これを阻止するには普通の人がストレスをゴルフなどで解消するように、マイナスエネルギーも何かにむけて消費しなければいけないのである。
いつか生まれるであろうせがれよ、用心してくれ。
商益「十分に用心する必要があるな」
その7 2012/4/16
恐らく、私の命は数年で尽きる。なので最後にこのカードを残す。きっと、せがれは見てくれるだろう。
今日はせがれの15歳の誕生日だ。しっかりと誕生日を祝えるのはこれが最後だと思うと何か悲しく感じる所もある。まあ、このカードを見るのは誕生日ではないはずだし、とっくに成人式も言っているだろう。数年遅れの誕生祝いだ。
…本題に戻るが、私は純粋な妖怪なのだが、実は妻は普通の人なのだ。これが意味するのは、必要とされなくて死ぬことはないが決して私より長くは生きれないという事だ。だが、もし私と同じような道を歩みたいのならば、試練を受けるのが最善の行動という事は保証する。
そして、ちゃんとした妖怪になったあとは何かしらの方法を使って旧友を訪ねなさい。預けてあるものがある。
色々書いたが、長く生きるんだぞ。せがれ…いや、商益。
商益「……ああ、これを見て試練を受けると決心した。
ありがとう。父さん」
2020/6/28(日) 22:55
父の残したカードはとても沢山の収穫になった。おまけにそれに必要な物はテントに隠してあると言う。凄く好都合だ。
それにしても、父は洒落た事をするものだ。あんな感じの事、滅多になかったなぁ…