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東方物天秤  作者: 匿名S
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東方物天秤 第2章 2話 祖先のカード

 最近、自分と似たような雰囲気の奴が居ると噂になっている。その噂を言っている人に尋ねてみたが、どうも自分ではないらしい。

俗に言うドッペルゲンガーみたいなものなのだろうか?どれにせよ不気味だ。

 それはともかく、一週間かけてカード翻訳機が完成した。いちいち聞きに行くのも面倒くさそうだったし、こういうのは隠しておくのに限るから、これは結構でかい。

 そして、今日は祖先が書いたと思われるカードを調べていこうと思う。

恐らく、書いたのは祖父(儲平 利之介)の祖父だろう。

ただ、翻訳機に一週間もかける必要はなかったような…

商益「まあ完成したのだから別にいいか」

商益「…使ってみるか」

・・・・


 その1

(訳:その1)

一八五七年 八月二十八日

(訳:1857年 8月28日)

現、此ノ時波乱ニ満チル。

(訳:今、波乱に満ちている。)

「ペリー」ナル者異国カラ襲来シ、翻訳不十分ヲ建前ニ一方的ナ約束ヲ取リ付ケ、

(訳:『ペリー』なる者が外国から襲来し、翻訳不十分を建前に一方的な約束を取り付けた。)

ニモ関ワラズ我ガ国ハ異国に対抗スル術ヲ持ツテイナイ。

(訳:にも関わらずこの国は外国に対処する方法が無い。)

嗚呼、何故現実ハ此ノ様ニ残酷カ、此ノ波乱ノ中デハ我は最早必要トサレヌ。

(訳:ああ、何故現実はこの様に残酷なのか、この波乱の中では私は最早必要とされない。)

我ノ命ハモウジキ尽キル。ダガ、我ニハ息子ガイル。人事もヤリ尽シタ。後ハ天命ニ身ヲ投ジル他無イ。

(訳:私の命はもうじき尽きる。だが、私には息子がいる。人事もやり尽くした。後は天命に身を任せる他やれることは無くなった。)

其ノ為ニモ我ガ死ニシ時ニ備エ、我ガ行ツタ事柄ニツイテ書キ記ス。

(訳:その為にも、私が死んだときに備え、私がした事をここに書き記す。)


商益「江戸の終わりごろだな。お、ここから先は任意で読める細工がしてある。凄いな」


※ここから先は翻訳済み


その2

1857年 8月28日

一族

我が一族は妖の一族であり、とても長命である。但し、純血のみ誰一人として自分を必要としなくなったときに一気に衰弱し、死ぬ。結婚している場合、後を追うように妻も衰弱死する。


商益「やっぱり祖先は妖怪だったか。と言うことは自分にも妖怪の血が流れているんだな」


その3

1857年 8月28日

私の能力

妖には何かしらの力があり、その力は子に遺伝する。そして、私の力は「扱う」力である。

 この力は、どの様な物でも副作用なしに手に取り取引する能力であり、応用すれば世の理を超越した取引が可能である。例えそれが種族であろうと性別であろうと取引が可能だが、命だけは禁忌の取引である。


商益「自分の取引の能力は祖先の遺伝からなのか。…完璧に同じだとしたら、一時的に別の種族になることも可能だな。やり方は分からないけど」


その4

1471年 2月11日

我が宝

 いつか来る私の死に備え私はある物を作ることにした。それは、言うなれば妖気変換機である。ちなみに首から下げて使用する。

 どのような物なのかと言うと、練成した石を使い空気中の妖気を吸収し、別の用途に使う物であり、赤い石は力を上げ、青い石は守りを上げ、緑の石は傷を癒す。これは、妖の血の割合により効果が増す。但し、遺伝子鍵を使っている為、少しでも一族の血が流れていないと効果が無い。だが、これを見ているという事は一族なのだろう。

 3つ揃った状態だと混血を純血にする効果を持つ。と言うのも、緑の石は傷を癒すが、妖の身体構造上、妖気で埋めなければいけないのである。ただ、緑の石単体だと強すぎるため、3つ揃わないとリミッターが外れないようになっている。その為、これを付けたまましばらくの間飲まず食わずに居ると自然に身体の妖の割合が大きくなるのである。

そして、この首飾りは一族の試練でもある。


商益「一気に時系列が飛んだな。それより、このネックレスにはそんなにも凄い効果があるのか。もはや技術量での疑問はしない方が妥当だろうな。ただ、試練と言うのは…?」


その5

1489年 6月21日

制作物取得物

 私は多くの物を作ったり、何かしらで手に入れたりしてきたが、どれも普通の人は勿論、ほとんどの妖も手に負えない物ばかりであった。その為、私はこれらを妖が集まる辺境の地に埋めてきた。噂によると後十数年したら大妖怪がその地を隔離するらしいから、丁度いい。

 勿論、埋めただけなら誰かに開けられるだろう。なので特別な封印を付けた。その封印は遺伝子鍵を使用しているから、一族以外が開けることは不可能である。ちなみに、封印中の内容物は時が流れない。


商益「ん?妖が集まる辺境の地…

…ここ(幻想郷)だろうな。という事は、何処かに埋まっているのか」


その6

1857年 8月28日

試練

一族のために作った首飾りだが、これは妖怪商人としての試練でもある。

その試練は、「一週間飲まず食わず動かずで何かしらの欲を表に出さずに生きる」と言う物だ。商人たるもの己の欲につられ自分の売るべきものを売らないというのはあってはならない事である。その為にもこの試練は存在する。

 ただ、一週間と言うのは半分嘘である。と言うのも試練中は首飾りの効果によって自分の時間だけ四倍になるのだが、自分の感覚は四分の一になる。これが意味するのは、「皆と同じ感覚で生きているが、自分の体だけは4倍の速さで経過する」のである。


商益「また時系列が戻ったな。試練は少し楽そうで良かった」


商益「…ん?次のページには名前だけしか書かれてないっぽいぞ」


 儲平 利之介


商益「この名前は…!」

2020/6/21(日) 22:00

 祖先が書いたと思っていたカードは以外にも祖父が書いていた。正直、一族が長命と書かれていたが最低でも400年はゆうに生きているとは思いもしなかった。

 試練について書かれていたが、まだ今はやる気は無い。それより祖父の埋めた宝の方が気になるので、一週間ほど探してみようと思う。まあ、制限時間みたいなのは無いから適当でも良いだろう。

別に本気で掘り当てようとも思っていないし

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