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自殺しそうになった美少女を止めたら、殺されそうなくらい愛される生活が始まった件

自殺しそうになった美少女を止めたら、殺されそうなくらい愛される生活が始まった件

作者: ジュリオ

いつもの屋上、


俺の独壇場。




ただ誰も立ち入らないはずの場所に


彼女はいた。



それもフェンスの外側に



「危ないッ!」


そう咄嗟に声が出た


掛けていいものか分からない声が出てしまった



さっと振り返った彼女は、泣いていた。


刺激しないようにそっと近づいていく、


「だ、大丈夫だ。死ぬ以外にも解決することなんて生きていれば、いくらでもある!」


理不尽な事を言ったものだ、


自身も生きる意味を一人になってボーっとする時に考えてしまうというのに


ただ、そんな俺だから


今、目の前で助けられる命を放っておける訳が無かった。



「こっちで話そう、俺でよければ話はいくらでも聞くし手助けもするよ!」



あえて彼女から離れてフェンスに手を掛ける、


彼女から目を離さず、フェンスを登り始めた。


口に手を当てて信じられないという素振りだ



「な、なんであなたも来るんですか!私が誰かも知らないのに...!放っておいて!!」



その言葉が天邪鬼の心に火をつけた。


やめろ、するな、


そう言われ続けて反対に行動に移してしまう嫌われ者の俺の性分が


人を助ける勇気になるだなんて


震える手足で慎重にわずかな足場に足を着けた。



あと数歩、腕を伸ばせば彼女に届く。


「君のことは何も知らない!でもこれから知るために今、君を助けたいんだ!!」


ゆっくりと距離を詰める、


下を向かなくても彼女を捉える視界に高所の恐怖が押し寄せる




「あなたはどうして...? どうしてそこまでするんですか!」



次の一言の隙に、俺は命を救う男になる


ただ下手なことを言ってはいけない。


この一言が正当性があって、それでありながら彼女を引き付ける意外性が無ければ


俺は命を消す男にもなってしまう



「ど、どうせ答えられないんでしょう...? 

 皆、そうだった! 口ばっかりで、心ある言葉なんて言わないんだから!!」



吹く風に押されるように彼女の足が次第に足場の端までズレている


漂う緊張感の中


稚拙な頭ではこの一言しか絞りだせなかった




「俺は、俺は何でも良いから君に生きて欲しいんだよ!!」


大声と共に彼女の腕をしっかりと掴んだ


すぐさま近づいてバランスを取ると彼女を抱き寄せた。


片手にはフェンス、もう片手で彼女の細身の体を震えながらも離さなかった



フェンスも彼女も手から滑り落ちるのではないかと不安だったが


「なんで、こんな...こと...」


自分の胸に押し付けていた彼女の顔から涙が伝った



「ここじゃ話もろくに出来ないから、戻ろう」



こうして俺は命を救う男になれた


ここに自分が今まで生きたきた価値を見出せた気がした




ここからが生きた心地がしなくなる人生の始まりだったとは知らず......

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