表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生、おっさんニートの成功物語  作者: 佐藤コウキ
第2章、商売繁盛
26/68

第26話、初めての転送



 いつものように和服のような白い服装。胸の谷間が強調されているのは本人の意思ではなく、それは民族的な衣装だから。

 異世界には、これといった化粧というものが無い。ほとんどすっぴんのトルティアだった。

「では、行きましょうか」

 そう言った俺の胸は高鳴っている。いよいよ彼女をオンブする時間が迫ってきているのだ。夢にまで見た、女の子を背負って日本に転送するイベント。大人の階段を上る日だ。

「いいなあ、私も行きたいなあ」

 妹のトルチェが指をくわえてこちらを見ている。トルティアのようにボリュームのある少女でも良いが、トルチェのように控えめな体型をしている15歳の女の子をオンブするのも悪くないだろう。

「また今度ね」

 よこしまな考えをごまかすように俺は笑って言った。

 ヤオジの村にある、異世界の本拠地。レンガ作りの建物の居間に皆が集まっていた。

 かねてからトルティアは日本に行きたがっていた。今回、その要望を叶えてあげようとしている。

 藤堂さんとしては、日本から持ってくる資材はたくさんあるのだから、トルティアの東京見物など先の先で良いという考えだが、運ぶのは俺だから転送する物は俺が決めるのだ。


「じゃあ、いいですか?」

 トルティアは少し恥ずかしそうに聞く。革製の大きなショルダーバッグを肩に掛けていた。

「ええ、どうぞ」

 俺はトルティアに背を向けて少しかがんだ。さあ、いよいよだ。

 じっと待っていると、俺の背中に柔らかい物が押しつけられた。あれー、女の子の胸って、こんなにホヨホヨしているんだ。

 女性の体は軽くて思ったよりも華奢だった。

 細い腕が俺の首の回される。彼女は少し力を入れてしがみついていた。ちょっと怖がっているのだろうか。

 耳の近くでトルティアの息づかい。良い香りがする。こんなに少女と接近するの初めてのこと。

 長沢がニヤついて見ていた。俺が興奮していることを悟られないように平静を装わなければ。

「じゃあ、行きますよ。目をつむってください」

 俺が言うと、彼女の腕に力が入る。

 さあ、日本に行こう。トルティアと一緒に東京見物だ。初めてのデートだぜ。

 ……これってデートかなあ。

 視界の光りが収束してカメラのシャッターが切れたように黒くなった。


  *


 藤堂事務所に到着。曇った空から夕日が差し込んでいる。

「トルティアちゃん、いらっしゃい」

 出迎えたのは、派手な服を着た麻美さんだった。花柄の服にタイトスカート。黙っていれば良い女なんだけど。

 トルティアは俺から離れて、西日に照らされた薄暗い事務所を見まわしている。

「ここが日本なんですか」

「うん、まあ、そうだね」

 失望していないと良いのだが。

「私は竹下麻美、22歳です。よろしくね」

 そう言って笑顔を見せる守銭奴。

 トルティアはきょとんとしている。そうか、日本語は分からないんだよ。

 俺が通訳してあげた。

「は、はい。私はヤオジの村から来たトルティアです」

 当然、それも通訳してあげなければならない。

「はい、よろしく。では着替えましょうか。その格好じゃ日本では目立ってしまうから」

 俺が通訳すると、トルティアは不安げに目線を送ってきたので、俺が大丈夫だよと首を縦に振って安心させる。

「じゃ、じゃあ、よろしくお願いします」

 彼女は麻美さんに連れられて更衣室に入っていった。


 小一時間ほど待った。

 外は暗くなっている。女の支度には時間が必要か。

「お待たせえ」

 含み笑いの麻美さんが出てきた。その後ろからトルティアが続く。

 俺は息を飲む。そこには今までとは違う彼女が立っていた。

 白いワンピースに水色のロングスカート。化粧をした彼女は大人の女性といったような顔だった。女は化粧をすると、こんなにも変わってしまうのか。

 今までは女性というよりは娘といったような感じだったが、そこにたたずむのはテレビで見たことがある、若手美人声優の誰かに似ていた。

「どうですか……」

 トルティアの質問にどう答えようか。きれいだよと実直にいうか、何か気の利いた比喩を使った方が利口なのか。

「すごく、良いですよ」

 あー、こんな台詞しか出てこない。実戦経験の少なさが敗因だ。

 それでも彼女は照れくさそうに下を向く。

 チクショウ、可愛いなあ。明日から俺は、こんな彼女を連れて町中を歩き回ることができるのだ。これで俺もリア充の仲間入り。


「で、佐藤さん。ちょっと予算オーバーしちゃってさー」

 麻美さんが右手でマネーマークを示している。人差し指と親指で丸を作り、予算の追加を催促していた。

「10万円を渡しておいたはずですが」

 女の子の洋服とか化粧代はそんなに経費が必要なのだろうか。

「女にはお金をかけなきゃ。こんな良い素材の女の子には特にね」

 麻美さんは胸の下で腕を組んでグンと強調している。

 曇った俺の顔を見てトルティアが心配しているよう。あまり不安にさせないようにしないと。

「それで、いくらですか?」

 ため息とともにたずねる。

「100万円」

 笑って小首をかしげる麻美さん。おいおい! ここは突っ込むべきだろう俺は。

「どうして、そんなにするんですか」

「洋服とか下着とか化粧用品とか、その他、ベッドとか、しばらく滞在するのに必要な物は全て買ったから。これからも時々、転送してくるんでしょ」

 うーん、それはそうなんだけど。

「それに、私の手数料もね」

 麻美さんはニコニコとした顔で何も動じていない。半分くらい搾取つもりじゃないのかなあ。

「分かりましたよ」

 俺は4階の自室に行き、小さなバッグを持ってくると中の札束を一つ、麻美さんに渡した。

「毎度、どうもー」

 彼女は相撲取りのように、右手でチョンチョンとやってから両手で受け取った。


 新キャラのトルチェを登場させました。

 テコ入れです。前の話は、少しずつ訂正していきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ